そもそもアルコールとは(化学の話)
一般にアルコールというと、飲めるアルコールのことを指しますよね。
「アルコールは飲み過ぎると体に悪いよ」みたいな文脈で使っています。
さて、ここで化学的にアルコールと言いますと、分子の中に-OH(水酸基)という
原子団を持っている仲間を指します。
アルコールの仲間で最も名の知られたものが
メタノールとエタノールです。
この二つはアルコールの中で最も小さな分子のアルコールです。
CH3-OH(メチルアルコール、またはメタノール)
このメタノールは毒性があって飲むことはできません。
別名、工業用アルコールと言ったりして、化学工業の原料となったりします。
メタノールは水素と一酸化炭素の混合気体を高温・高圧のもとで合成します。
2H2+CO→CH3-OH
また、次のようにメタンを酸化して作ります。
2CH4+O2→2CH3-OH
メタノールは多くの物質をよく溶かすので溶媒として利用されています。
メタノールは飲むと毒性を表しますが、手で触ること等にはなんら問題はありません。
身近なところでは、液体燃料(アルコールランプの燃料)
や、レンズの掃除にも使えます。
小中学校の実験では、葉っぱから葉緑素を抽出する際にもメタノールを使います。
めt古いお話しですが、先の大戦で日本が負けたとき、物資不足でお酒など
なかったとき、このメタノールだけは工場に残っていて、アルコールなら
飲めるだろうと多くの人が飲んでしまって視神経を壊して失明したらしいです。
一方、飲めるアルコールは、C2H5-OHで、エチルアルコール、またはエタノールと言います。
お酒の中にはこのエタノールが一定の濃度で入っています。
このエタノールが血中に入ると私たちは酔えるわけです。
酒造りでは、酒米(ブドウ糖)に酵母を加えて発酵(アルコール発酵)させて
作ります。
工業的には、エチレンC2H4と硫酸(発煙硫酸)から合成して作ります。
他のアルコールの仲間には
- CH3-CH2-CH2-OH(プロパノール)
- CH3-CH2-CH2-CH2-OH(ブタノール)
- HO-CH2-CH2-OH(エチレングリコール)
などがありますが、
-OHを分子内に持っているアルコールの仲間はもっとたくさんあります。