記事『豊洲市場の地下から採取した水に猛毒のシアン化合物が含まれていた~シアン化合物とは?』で、シアン化合物について書きました。ところがその後、毒物の六価クロムも検出されました。

『「安全性問題ない」専門家会議座長が見解』によると、豊洲市場の3棟の床下の空洞の地下水を東京都が9月13日〜15日に採取して調べたところ、1リットル当たり0.002〜0.005ミリグラムのヒ素(環境基準値0.01ミリグラム)と0.005ミリグラムの六価クロム(同0.05ミリグラム)、0.001ミリグラムの鉛(同0.01ミリグラム)が検出され、また、3棟の空洞の大気からは、1立方メートル当たり0.0005〜0.0025ミリグラムのベンゼン(同0.003ミリグラム)が検出されたということです。

今日は、この「六価クロム」についてまとめてみます。

1 まず、クロムとは

クロムというのは、金属元素で元素記号はCrです。
身近な金属で、主に金属食器のクロムメッキに使用されています。

ですので、クロム金属は全く無害な金属です。下の写真はクロム(金属)の写真です。

クロム金属〈出典:世界で一番美しい元素図鑑、創元社〉

クロム金属〈出典:世界で一番美しい元素図鑑、創元社〉

世界で一番美しい元素図鑑

 

クロム(元素記号:Cr)とか鉄(Fe)、金(Au)などの純粋な金属を単体と言います。

したがって単体のクロム金属は全く無害なのですが、クロムが他の原子と結合して化合物になると、有毒な物質ができるのです。

クロムの化合物には、種類がいくつかあって、その内、Crが6+の陽イオンになっている化合物が毒性を持っています。ですのでこの毒性を持った化合物を六価クロムと呼んでおり、いくつか種類があります。

2 有毒物質「六価クロム」の仲間

いずれも、Crが6+の陽イオンになっています。

(1)二クロム酸カリウム 又は重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)【劇物】

最初の二は漢数字の二。Cr2の2です。「毒物及び劇物取締法」では劇物指定です。

二クロム酸カリウム(重クロム酸カリウム)

二クロム酸カリウム(重クロム酸カリウム) 〈出典:Wikipedia 二クロム酸カリウム〉

 

これは「学校理科薬品」にも入っている薬品で高校であれば実験にも使用します。有毒で腐食性も強いです。この二クロム酸カリウムは、強い酸化剤として働くんですね。

 

(2)クロム酸カリウム (K2CrO4) 【劇物】

クロム酸カリウム

クロム酸カリウム            〈出典:Wikipedia クロム酸カリウム〉

黄色の結晶で有毒です。

このクロム酸カリウムの飽和溶液に硫酸を加えると、二クロム酸カリウムに変化します。

(3)三酸化クロム (CrO3) または酸化クロム(VI)

酸化クロム(VI)の方は酸化クロムというだけでは、どの酸化クロムかわからないので、六価のクロムイオンですよという意味で(VI)を書きます。赤褐色の結晶、毒性あり。

三酸化クロム〈出典:ヤフー画像〉

三酸化クロム〈出典:ヤフー画像〉

 

これら、六価クロム化合物の用途としては、酸化剤やめっき等があります。

また、水に不溶なクロム酸塩は黄色の顔料として使われ、黄鉛(クロム酸鉛、PbCrO4)はよく使用されています。

一方、無毒の酸化クロムがあります。

3 無毒の酸化クロム

(1)酸化クロム(Cr2O3 )

Crは+3の陽イオンとなっていますので、六価クロムではないんですね。

緑色の粉末で、粒子の大きさによって色目が変化します。毒性がないので、緑色の顔料として非常に優れています。学校の黒板の色(深緑色)は、この酸化クロムの色ですよ。

(酸化クロムの粉末、出典:OZEKI 株式会社小関

 

以上、六価クロムでした。まだ、書きたいことはたくさんありますので、徐々に更新していきたいです。

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