生後6か月の乳児が、蜂蜜を食べて亡くなりました。
乳児ボツリヌス症を発症したとみられており、同症による死亡は全国で初めてとのことです。
ボツリヌス菌の毒性は非常に強いとは聞いていましたが、蜂蜜との関係は知りませんでした。
下の記事で、東京大学名誉教授(薬理学)の唐木英明氏は「乳児はまだボツリヌス菌に免疫をもっていないので、蜂蜜を与えてはいけないのは常識だと思っていたが、最近は知らない人がいる。」と話しています。
「乳児に蜂蜜を食べさせてはいけない」のは常識とのことですが、皆さんはご存知でしたか。
私は全く知りませんでした。
 ミツバチの生態は以前、勉強してそれなりに知っているつもりだったけど、蜂蜜とボツリヌス菌の関係は書いてなかったと思います。

〈スポンサーリンク〉

<蜂蜜食中毒>1歳未満注意喚起 厚労省「改めて促したい」

毎日新聞 4/7(金) 22:50配信

東京都は7日、足立区の生後6カ月の男児が3月、蜂蜜が原因の食中毒で死亡したと発表した。家庭で与えた市販の蜂蜜にボツリヌス菌が含まれ、乳児ボツリヌス症を発症したとみられる。同症による死亡は全国で初めて。

・・・・・(略)

 

また、『乳児ボツリヌス症は1986年に千葉県で初めて確認され、厚生省(当時)は87年、1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう通知を出し、注意喚起を続けてきた。』ということですが、私の子育ての過程で、そういう情報は聞いたことがなかったように思います。

また、市販蜂蜜の容器のラベルに、メーカーの注意書きがあるようですが、そんな注意書きも見たことがありません。(これからスーパーに行って確認してみます)

 

そんなわけで、今回はボツリヌス菌について勉強することにします。

 ボツリヌス菌とは

 1 その毒性は

1gの毒素があると、1000万人を殺すことができる神経毒で、自然界に存在する毒素としては最も強力なものです。

ということは、1人当たりの致死量は、1/1000万g。とてつもなく強力な毒です。ちなみに青酸カリは経口投与の場合、1gあたり5人です。 (参照:百科事典マイペディア、Wikipedia)

2 ボツリヌス菌の性質 

① 『ボツリヌス菌は芽胞となって高温に耐えることができるが、ボツリヌス毒素自体は加熱することで不活化する。A、B型菌を不活化させるには100℃で6時間、芽胞で120℃で4分間の加熱が必要であるが、ボツリヌス毒素自体は100℃で1-2分の加熱で失活される。このため、ボツリヌス菌による食中毒を防ぐには、食べる直前に食品を加熱することが効果的である。』
(引用:Wikipedia)
ボツリヌス菌の毒性は極めて強力ですが、熱には非常に弱いんですね。
毒素の分子構造が不安定で、加熱により分子構造がすぐに壊れてしまうようです。
②大気レベルの濃度の酸素に暴露することで死滅する偏性嫌気性生物です。
酸素が存在すると基本、生きていけない細菌なんです。ですので芽胞を形成して、生き延びます。

3 芽胞とは

ボツリヌス菌など一部の細菌が形づくる、極めて耐久性の高い細胞構造のことです。
この仲間の細菌は、自身の生育環境が悪くなったり、あるいは毒性のある化学物質にさらされると、自身の細胞内に芽胞を形成して、生き延びようとします。
芽胞になると、半結晶状態(無生物に近い状態)になるので、簡単には死ななくなるのです。そのかわり、芽胞の状態では細胞分裂をして増殖することはできませんし、本来の生命活動もできません。いわば、種子や胞子に近いイメージで、休眠しているような状態です。
ところが、この芽胞が環境のよい状況に置かれると(人体等に摂取されると)、発芽して本来の細菌としての生命活動を開始します。この際に毒素を生成して、人間に被害をもたらすことがあるのです。
 

4 ボツリヌス菌はどこに存在するのか

ボツリヌス菌は偏性嫌気性生物ですので、この「芽胞」状態でなるべく酸素が少ないところに存在します。

ですので、土壌や水中に多く見られる細菌ですが、なるべく空気の少ない場所、すなわち土中だと粘土質で空気を含みにくい所、また水中だと空気に触れにくい水深の深い所で検出が多いとの論文もあります。

5 ボツリヌス菌の人体への影響

成人が、ボツリヌス菌(芽胞)を口に入れても、普通、死ぬことはありません。中毒の多くは食品中でボツリヌス菌が増殖し、その際に産生する毒素を食べることで、発症します。

また、土で汚れた手や、土の付着した野菜等をよく洗わないで食べてしまうと、ボツリヌス菌の芽胞を体内に取り込むことになります。

6 乳児ボツリヌス症とは

1歳未満の乳児に特有の疾病で、経口的に摂取されたボツリヌス菌の芽胞が腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素により発症します。

乳児の場合、大腸細菌叢が未発達で、抵抗力が弱いので発症することがありますが、1歳を超えると正常な大腸細菌叢が作られ発症しなくなります。 

蜂蜜には、花粉等に付着していたボツリヌス菌の芽胞が混ざっているんですね。

7 大腸細菌叢(腸内細菌叢)とは

ヒトを含めた動物の腸内に常在する一群の細菌の総称で、腸内の細菌の分布状態を腸内細菌叢といいます。

ヒトの腸内細菌叢の主な働きは、

①病原体の侵入を防ぎ排除する。

②腸内細菌と腸粘膜細胞とで免疫力の約70%を作りだしている。

③食物繊維を消化し短鎖脂肪酸を産生する。

④ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類を生成する。

⑤ドーパミンやセロトニンを合成する。

 

1歳未満の乳児では、この免疫力や病原体に対する抵抗力が未発達なんですね。

乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児に、蜂蜜を与えるのは止めましょう。

〈スポンサーリンク〉