高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉には、政府系の科学者を除いて、多くの科学者・識者が賛成しています。

福井県民のアンケート結果も、「もんじゅをすぐに廃炉すべき」が「すぐに稼働すべき」を2倍

上回っています。

(一番多かったのは、「政府がもんじゅの役割を議論し直し対応を決めるべき」42.1%でした)

 

建設以来、莫大な税金を投与したにも関わらず、事故・人為的ミスが重なり、この22年間で稼

働日数がわずか250日と聞けば、誰しもすぐに廃炉すべきと考えて当然です。

 

僕も、『「もんじゅ」廃炉決定!でも新しい「高速炉」を作るんですね。大丈夫か?』で、

コントロール不可能な「もんじゅ」はすぐに止めたほうがいいと書きました。

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でも政府は、「もんじゅ」は廃炉にするけれども、それに代わる新しい高速炉を建設すると言うんですよね。

しかも、新しく作る高速炉は原型炉としての「もんじゅ」の上をいく「実証炉」だという

のです。

下位の原型炉「もんじゅ」でさえ失敗続きで、ほとんど運転できなかったのに、

その上をいく「実証炉」を成功させることができるのでしょうか。

普通は「無理でしょ!」

でも政府は、がぜん、「前進あるのみ」と考えています。

「もんじゅ」の悲惨な状況を見ても、まだ「推進すべし」と政府が考えるあたり、どんな事情があるのでしょうか。

ネット検索して読んだところ、ジャーナリスト田原総一朗氏の記事が、読みやすかったです。

(田原総一朗の政財界「ここだけの話」)
「もんじゅ」に代わる新高速炉計画はあまりに無責任だ】2016年12月08日

政府は「核燃料サイクル」の維持を決めた

政府は廃炉が予定されている高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の代わりに新しい高速炉を建設する方針を固めた。11月30日に開いた官民合同の「高速炉開発会議」で高速炉開発方針の骨子をまとめ、今後10数年間で必要になる作業の具体的な工程を2018年中に示すことを明らかにした。

この計画では使用済みの核燃料を再処理し、プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料として高速炉や原発で使うことを考えている。つまり、「核燃料サイクル」の維持を決めたということだ。

 

政府は、まず、「核燃料サイクルありき」なんですね。

次に、「高速炉開発会議に参加したメンバー」について、田原氏は反対しています。

その理由は、

高速炉開発会議に参加したメンバーは、経済産業大臣、文部科学大臣、電気事業連合会、原発メーカーの三菱重工、そしてもんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構だ。失敗したもんじゅの関係者ばかりである。

もんじゅの責任者たちが集まって、新たな実証炉の開発を考えているということ自体、無責任なことではないだろうか。もんじゅはなぜ失敗したか、どこに問題があったのかという反省が全くない。

ということです。

もっともなお話ですが、高速炉について論じることのできるメンバーは、

もんじゅを建設・運転してきた人たちを除いて他にはないと思うんですね。

なので、無責任なんだけど、原発メーカーの三菱重工やもんじゅの運営主体の

日本原子力研究開発機構などのメンバーでやるしかない。

田原総一朗氏がおっしゃる問題点は、情報公開をさらに進めるとか、隠ぺい体質を

チェックする仕組みを立ち上げるとか、そうした方法でクリアするしかないと思うのですが。

 

次に「そもそも、政府がなぜ、高速炉開発にこだわるのか」について書かれています。ここ、僕が一番知りたいところです。

そもそもなぜ、政府は高速炉開発にこだわるのか。僕は、民主党内閣の最後の首相であった野田佳彦氏が、2012年9月14日に原発計画を発表した時のことを思い出した。

野田首相は、「2030年代までにすべて停止する。使用済み核燃料の再処理はしない。また、青森県の大間原発の建設をしない。これらを9月19日に閣議決定する」と言い切った。ところが、実際は何一つ閣議決定できなかった。

政府はなぜ「核燃料サイクル」にこだわるのか

その要因の一つは、青森県六ヶ所村の再処理施設が「使用済み核燃料の再処理を認めないのであれば、施設で保管しているすべての使用済み核燃料を全国の原子力発電所に送り返す」と言い出したからだ。

これには、野田内閣は非常に困惑した。なぜならば、使用済み核燃料を送り返されたら、どの原発でも保管するのが難しいからだ。

結局、野田内閣は六ヶ所村での使用済み核燃料の再処理を認め、青森県の怒りを抑えるために、大間原発の建設も認めた。

もんじゅを廃炉にすれば、六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理は必要なくなってしまう。使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す必要がなくなるからだ。

だから、もんじゅを廃炉にするということを打ち出せば、青森県はかつてのように、六ヶ所村で保管している使用済み核燃料をすべて全国の原発に送り返すと言うだろう。

これを回避するために、政府はもんじゅに代わる核燃料サイクルを構築すると決めたのではないだろうか。つまり、野田内閣が時間稼ぎのために使用済み核燃料の再処理を認めた理由と同じではないかと思う。

 

さらに、新たな高速炉開発は現在、もんじゅが設置されている福井県への配慮もあると

いうのです。

実のところ政府は、核燃料サイクルの構築などできるとは思っていないのではないだろうか。しかし、「新しい高速炉を開発する」と言っておけば、青森県六ヶ所村の反発を抑える時間を稼ぐことができる。

もう一つ、新たな高速炉を開発する理由がある。厄介者であるもんじゅに長年付き合ってくれた福井県への配慮もあるのではないだろうか。

 

ところで、高速炉の開発からは、アメリカもイギリスも撤退していると前回、書きました。

それで、日本政府はフランスの高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画に参加する方向で

考えています。

もんじゅ運転の代わりに、「ASTRID」に参画することで、いろんな知見を得られるはずだと

説明しているのです。

 

ところが、このフランスの高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」は、経済面でも多額の資金

不足を生じており、フランス1国では運営が立ち行かなくなっているそうです。

つまり、フランスにおいても、高速炉は大きな負担になっていて、どうにも立ち行かなくなって

いるのです。

政府が頼りにしているフランスの高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画も、フランス政府は建設の是非を決めると言っている段階である。

 

すなわち、おぼれて沈みかけているフランスのASTRID(アストリッド)に、

これまた、おぼれている日本の高速炉もんじゅが、藁をもつかむ気持ちで、

しがみつこうとしている状況なのではないでしょうか。

 

主導権はフランスに握られているのに、フランス側は費用負担だけは、フィフティフィフティと考えているようで、日本側に果たして利益があるのかな。

 

これでは、フランスのASTRID(アストリッド)も日本の次期高速炉も一緒に沈没してしまうん

じゃないでしょうか。

やっぱり、日本政府は「もんじゅは失敗だった、ごめんなさい」と国民に正直に謝罪してから、

もんじゅの経過をきちんと検証し、説明して、それから新高速炉の話に入っていくべきだと思い

ますね。

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