日本銀行が、銀行から買い取った国債が400兆円(発行額の4割近く)を突破したということです。

日銀の保有国債、400兆円初突破 黒田緩和で3倍超増
朝日新聞デジタル 10月11日(火)21時17分配信日銀の国債残高が400兆円を突破した
 日本銀行が保有する国債の残高が7日時点で初めて400兆円を突破した。2013年4月に大規模緩和を開始し、大量の国債を銀行などから買ってお金を流している。保有額は3年半で3倍超に増え、発行額の4割近くに達する。緩和で国債の低金利が続き、発行は増えている。事実上は日銀が政府の借金を引き受ける「財政ファイナンス」だとの指摘が強まっている。 日銀が11日まとめた「主要勘定」で明らかになった。大規模緩和前の保有額は約130兆円。黒田東彦(はるひこ)総裁就任後に買い入れが加速した。当初は保有が年50兆円増えるペースで買い、14年10月に80兆円増へ上積みした。政府の毎月発行額の多くを買っている形だ。 日本の債務残高は先進国で最悪の水準だ。国債の発行残高は約1100兆円で、日銀保有分は4割近く。18年に5割を超えるとされる。日銀は国債を買ってお金を流し続けても「物価上昇率2%」を達成できず、政策の軸足を長期金利の操作へ移した。一方で国債保有を増やす政策も続ける。みずほ総合研究所の野口雄裕氏は「国の借金の多くを日銀が引き受けている状況で、すでに財政ファイナンスに近い」と指摘する。

 

保有国債が増えるとどうなるの?

1 日銀は誰から国債を買うの?
日銀は、市場の銀行から、銀行が保有している国債を買います(買い取り)。
日銀が銀行保有の国債を買う事で、銀行にはその代金が入るので手元資金が増えることになり、金利を下げて企業や個人への貸し付けを促進することが可能になります。
金利が下がれば、個人の購買意欲も増し、景気を回復させる効果が期待できます。

ところで、日銀が国債を手に入れるときは、国債の「買い取り」と「引き受け」とがあります。

(1)「買い取り」とは日銀が市場の銀行が保有している国債を買う事です。

銀行は資金がふえ、金利を下げて企業や個人への貸し付けを促進することができます。金利が下がることで個人の購買意欲も増し、景気を回復させる効果が期待できます。

(2)国債の「引き受け」とは日銀が金融市場を通さずに自分でお金を印刷して、そのお金で国債を買って政府に直接資金を渡すことです。

政府はそれをもとに満期が来た国債の支払いに充てたり、公共事業を起こしたりして景気を刺激し、経済を活性化させようとします。

しかし、お金を印刷すれば政府は簡単に資金を手にすることができるので、緊張感や節度がなくなりがちで、通貨の増発に歯止めがかからなくなる恐れがあります。

生産量(品物)が増えていないのに、政府がどんどん紙幣を印刷すれば、お金の価値や信用が落ちることは私たちにもわかります。

こんなことを続けると、ハイパーインフレを起こす可能性があるんですね。第一次世界大戦後のドイツでハイパーインフレが起きたのは、中央銀行が通貨を大量に発行したことが原因だということは学校でも勉強しました。

そこで、今の日銀の状況は、みずほ総合研究所の野口雄裕氏が言うように、「国の借金の多くを日銀が引き受けている状況で、すでに財政ファイナンスに近い」ということらしい。

この「財政ファイナンス」とはつい最近、話題になった「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策」のことです。

日銀の状況が「財政ファイナンスに近い」という見立ては、米連邦準備制度理事会のバーナンキ前議長もしており、彼のブログの中で「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策」に似ていると語っています。『日銀政策「ヘリマネに似ている」 前FRB議長が指摘

一方、日銀の黒田総裁は9月26日、大阪市での記者会見でバーナンキ氏の指摘について問われ、「金融と財政の一体運営(という意味)なら法制度はそうなっていない。相乗効果のあるポリシーミックス(政策協調)としては何ら間違っていない」と反論しています。

現在、日本銀行の国債の引き受けは原則として法律で禁止されているからです。(ただし、日銀では、特別な理由があるときは国会での議決を経て引き受けが可能とされています。)

アメリカや欧州でも中央銀行のいわゆる「国債引き受け」は行わないことになっているとのこと。

 

ヘリコプターマネーは、どうして危ないのか 金融政策は物価をコントロールできなくなる
東洋経済 2016年07月22日

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■「返さなくてもよいおカネ」という虫のよい話

つまるところ従来の財政・金融政策との大きな違いは、「借金」(debt)でなく「銀行券」(money)で財源を手当てし、大規模に財政出動(減税や歳出拡大)する点にある。

借金でなく、銀行券でファイナンスするとは、調達した資金を返済しないことを意味する。銀行券で調達するので、発行体(この場合は日銀)からすると、債券(国債)や株式で資金調達するときのように利払いや配当の負担もない。

通常の財政政策は政府が国債を発行して歳出をまかない、国債は民間や海外投資家が引き受ける。財政を拡張しすぎると国債金利が上昇し、借り過ぎを抑制するメカニズムが自然に働く。また、当然のことだが、国債は借金なので将来返済することを想定している(日本は借り換えを繰り返し、現在60年かけて償還している)。国の借金はいずれは税収を財源に返済することになるので、現在の多額の借金は将来の増税を連想させる。それゆえ、消費刺激効果も限定的になる。

しかし、ヘリマネはこうした経済的な規律を一切、取り払ってしまう。政府は中央銀行(日銀)に国債を引き受けさせてお金を受け取り、中央銀行は国債を永久に保有し続ける。

将来も返済(償還)を予定しておらず、それゆえ将来の増税もないので、本当にそうかは別として、家計は安心して消費を増やし、物価も上昇していくのだという。バーナンキ氏の定義にならえば、「マネーストックの恒久的な増加=借金を将来にわたって返済しない」点がこの政策のミソなのだ。

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でも、素人の私でも、こんな「ヘリマネ政策」が上手くいくとは思えないんですね。

インド中央銀行のラグラム・ラジャン総裁が言うように、ヘリマネ政策をとらなければならない経済状況だと国民が知れば、やっぱり人々はお金を消費に回さず貯蓄することになり、経済を活性化することにはならないんじゃあないでしょうか。

日銀がこのまま、保有国債を増やしていくと、国の借金を日銀が引き受けているという状況がますます進み、インフレーションの危険性が出てくることになるようです。

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