地方都市の私立大学は、少子化の中、生徒募集に苦労しており、大方の大学は経営難に陥っています。

そんな経営環境のもと、私立大学は自治体に頼んで公立化を進めているようです。

 

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地方私立大、進む公立への衣替え 少子化で経営厳しく

全国の公立化した私立大学

 地方の私立大が公立大に衣替えする動きが進んでいる。朝日新聞の調べでは7大学が公立化し、少なくとも6私大が今後、その予定か構想がある。少子化が進み、私大経営が厳しさを増すことが主な要因だが、将来、国や引き受けた自治体の財政上の負担が増えかねないとの指摘もある。

2018年ごろから18歳人口が減り始めると予測され、国の財政難で私学への補助金の伸びも見込めない。こうした中で千歳科学技術大は昨年12月、北海道千歳市への公立化を求める要望書で、少子化の急速な進行や受験生の国公立大・大規模私大志向、地域経済低迷による教育費の負担増などを挙げ、「地方の私立大学の運営は極めて厳しい」などと記した。姉妹校2校を地元自治体に任せた東京理科大(東京都新宿区)は、2校を含めた全体としては経営は順調だというが、少子化や他大との競争激化に備え、キャンパス再編など「選択と集中」を進める一環だという。

自治体側が財政負担をしてでも公立化に踏み切るのは、大学を引き受けることで若者が残り、地元経済への波及効果が見込めるためだ。また、大学の運営費の一部が国から地方交付税交付金として配分されるため、授業料引き下げなどで学生も集めやすくなる。もともと、私大として設立された時、地元自治体が財政的支援をしていた例がほとんどだ。

 

しかし、私立から公立大学に鞍替えしても、そう簡単に問題解決とはいきません。

まず、メリットとして考えられているのは、

①大学を引き受けることで若者が残り、地元経済への波及効果が見込めること。

②大学の運営費の一部が国から地方交付税交付金として配分されるため、授業料引き下げることができ学生を集めやすくなる。

もともと経営難の大学が多かったので、これまでも地元自治体が財政的支援を続けてきた経過がありますが、地元自治体の設立ともなれば、私立の時よりも財政的には助かるのでしょう。

でも、それは、私立の学校法人が以前より、お金の苦労をしなくてもよくなったというだけで、地方大学の経営環境は変わっていないと思います。

例として、昨年(2016年)4月、私立から公立になった京都府福知山市の福知山公立大学について少し見ていきます。

大学の公立化で福知山市は大きなお荷物を肩代わりすることになったのではないかと心配してしまいます。

というのは、もともと、福知山市に住んで福知山市で4年間、学んでみたいという高校生のニーズは無いように思うんですね。

あったのは、大学を作れば生徒が福知山市にやってくるので、町の活性化につながるという設立側の一方的な思い込みだけではないでしょうか。

京都府には、京都市という圧倒的な人気を誇る世界都市があります。

京都府下の生徒にとっては、大学に進学するというのは、京都市で大学生活を送りたいということも意味します。もちろん、京都府からは大阪、神戸にいく生徒もいますが、京都府の生徒にとっても京都市の魅力は大きいのです。

府内の町から、福知山市に流れる生徒は少ないはずです。

福知山公立大学の募集要項を見てみましょう。

「地域経営学部」のみの単科大学で、「地域経営学科」と「医療福祉マネジメント学科」の2学科があります。

平成29年度の募集定員は、「地域経営学部」120名。

内訳は

地域経営学科…95名
医療福祉マネジメント学科…25名

です。

福知山公立大学は、学校法人成美学園が経営していた京都短期大学の商経科を平成12年に改組転換した京都創成大学がもとになっています。

そして、平成22年成美大学に改称しています。

しかし、生徒は集まらず、平成23年には、大学基準協会の大学認証評価において不適合判定を受けてしまいました。

その結果、学生はますます、集まらないようになり、

平成23年、大学定員を120人に削減
平成24年、大学定員を100人に削減
平成25年、大学定員を80人に削減
平成26年、大学定員を60人に削減
平成28年、4月1日 に福知山公立大学に移行。設置学部は地域経営学部のみ。
設置者は福知山市で、運営法人が公立大学法人福知山公立大学となりました。

大学認証評価において不適合判定を受けたり、募集定員削減の経過をみると、もう、「死に体」の大学です。

毎日新聞2016年11月15日地方版によると、福知山公立大学の2017年推薦入試と編入学試験の志願状況が11月14日に確定しました。

 地域経営学部の1学部で、推薦は募集43人に対し、志願者は25人。うち地域枠(20人)は9人の志願でした。編入は7人の募集に対し、19人が志願しました。

 推薦志願が募集人員に達しなかったことに、大学は入試内容の決定が他大学に比べ遅かった事などを要因に上げて、「今後は一般入試に向け更に受験生にアピールしていきたい」と話しています。

福知山市の発表によると、公立化した初年度(2016年度)の全入学志願者数は1669人で、募集定員に対する志願倍率は33・38倍ということでした。

さて、一般入試の方は、今年はどうなるでしょうか。

将来、公立化を引き受けた自治体の財政上の負担になるという指摘がありますが、おそらくその通りの結果になるのではないでしょうか。子供の数がさらに少なくなる状況下で、経営環境はますます厳しくなるはずですから。

大学設立というと、文化的な事柄のように聞こえますが、「ハコモノ建設」と変わらない施策のように思います。

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