お尋ねします。
「ジソウ」と聞いて、みなさん、どんな漢字を思い浮かべますか。

私は、仕事上、この「ジソウ」を初めて耳にしたときは何か違和感がありました。
まず、「自走」をイメージしましたね。ワープロソフトも最初は「自走」が優先されています。

「ジソウ」=「児童相談所」です。

使っているうちに、言葉に出す場合は「児童相談所」より、「児相」の方が手っ取り早いことが実感できました。

さて、前置きが長くなりましたが、多くの普通の家庭では縁のないお役所です。
逆に、不幸な子供たちにとっては、駆け込み寺のような大切な施設で、最近はとても忙しい施設になっています。

 児童相談所が忙しいということは、それだけ問題を抱えた家庭が増えたということで、よいことではありません。職員の皆さんは多くのケースを一人で抱え、本当にご苦労だと思います。

次の報道がありました。

児相の一時保護、親の同意不要に
TBS系(JNN) 9月30日(金)15時30分配信
虐待を受けている子どもを家族から引き離す「一時保護」を児童相談所がより積極的に行えるよう、厚生労働省は保護者の同意を原則としないなどの見直しをした新しい運営指針を全国の自治体に通知しました。

一時保護をめぐっては、おととし、神奈川県相模原市の児童相談所が、両親から虐待を受けて自ら保護を求めた男子中学生について、親の同意が得られなかったなどの理由から保護を見送り、男子生徒がその後、自殺しました。

問題を受けて厚生労働省は、児童相談所が「一時保護」を積極的に行えるよう、運営指針を見直して全国の自治体に通知しました。具体的には、一時保護をする際の保護者の同意について、これまでの「原則として必要」から「望ましい」に表現を改めた上で、子どもの安全確保が必要な場面では「一時保護を躊躇なく行うべき」としています。

 

この緊急避難的な一時保護は、児童相談所の持っている強い権限の一つですが、運営指針としては「基本的に親権者たる親の同意を必要とする」となっていたようです。

しかし、記事にあるように、虐待の場合は普通は親が子供に暴力をふるっているので、その親に同意を求めることはナンセンスな行為となります。
なぜなら、普段から子供を虐待していることを理由に一時保護を申し出た児相に、「はい、そうですよ。おっしゃるとおり、私は子供を虐待しています。どうぞ、子供連れて行ってください」なんて言う親は普通はおりません。

まあ、そんな中で、相模原市の児童相談所は、両親から虐待を受けて自ら保護を求めてきた男子中学生に対して、親の同意が得られなかったなどの理由から保護を見送ってしまったのです。

しかし、親の同意は、運営指針ということですので、児童福祉法に規定されているわけではありません。権限は、児相所長にあるはずです。

次に簡潔にまとめられた高知県の「児童相談所の役割」という資料がありますので、一部引用します。

4 児童相談所の役割

(1)児童相談所の基本的機能
・・・・・(略)
(2)児童虐待対応等における児童相談所の主な権限
①職権による一時保護
児童相談所長が一時保護を必要と認める場合には、保護者や児童本人の同意なしに一時保
護を行うことができます。(児童福祉法第33条)

②立入調査等
虐待が行われているおそれがあると認められる場合であって、児童の安全確認が困難な場
合や保護者に対して児童虐待の対応の措置をとるため知事が必要と認める場合に家庭等に立
ち入り、必要な調査や質問をすることができます。また、家庭裁判所、簡易裁判所の許可状
により、職員等に児童の住居に臨検させ、又は児童を捜索させることができます。(児童福祉
法第29条、虐待防止法第9条)

③家庭裁判所の承認による施設入所
虐待等により、保護者に児童を監護させることが著しく児童の福祉を害する状態であって
も保護者が施設入所等に同意しない場合、家庭裁判所の承認を得た上で施設入所措置を行う
ことができます。(児童福祉法第28条)

 

児童福祉法第33条は、「児童相談所長が一時保護を必要と認める場合には、保護者や児童本人の同意なしに一時保護を行うことができる」としています。

 子供の非行等の場合は、親の同意を「原則として必要」とするというのはわかりますが、虐待の場合は、親の同意が得られないことも想定できるので、この条文にそって、児童相談所長が保護者の同意なしに一時保護を行うことができたはずです。

 それなのに、児童相談所長がその権限で一時保護をしなったのは、その必要なしと考えたのでしょうか。

次のニュースをみてみましょう。


神奈川県相模原市で発生した中学2年生の自殺 虐待親が取材陣に反論

2016年3月23日 12時56分 (ライブドアニュース)

23日放送の「ひるおび!」(TBS系)で、自殺した男子生徒の親が、
取材スタッフに対して疑問を呈する場面があった。

番組では、神奈川県相模原市で発生した中学2年生の自殺を取り上げた。この男子生徒は親から虐待を受け続けており、2014年の5月末にはコンビニに逃げ込み、警察に「親に暴力を振るわれた」と訴えていた。

生徒は児童相談所との面談の中で、施設での生活を希望していたが、おととし11月に自殺を図ったという。その後、意識不明の状態が続いていたが、今年2月にとうとう亡くなったそうだ。児童相談所の所長は、生徒の母親が面談で虐待をやめると約束したことから、「急迫した状態ではないと判断した」と釈明している。

番組の取材に対して、生徒の母親は、児童相談所側による「通所したことによって、親子関係が良くなった」という見解に異議を唱えた。親に心を開かなくなったのは、むしろ児童相談所に通い始めた頃からだというのだ。

そして、母親は「手を上げるようなことはなかったとはいいません」と断った上で、「なにか家で決めていることを守らなかった。それを悪いことなんだよと分かってもらえなかったときって、じゃどうしたらいいですか?」と反論していた。

 

児童相談所長は、やはり、「急迫した状態ではないと判断」したから、一時保護をしなかったんですね。

とすると、最初のJNNの記事では、「保護者の同意が原則として必要」という指針があったので保護できなかったと読み取れるのですが、実際は所長の判断でできたんですね。

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