「他人の不幸は蜜の味」といいますが、そのように人間が考えることは科学的証明済みということらしいです。
他人の不幸を喜ぶという人間の心理を「科学的に証明する」とは、具体的にはどうやって証明するのでしょうか?

「他人の不幸は蜜の味」は科学的証明済み
プレジデント 10月14日(金)6時15分配信

■「他人の不幸を喜ぶのは不謹慎」ではない

 「他人の幸福は飯がまずい」

 という表現があります。底意地が悪いように聞こえる言い方です。しかし、それは、人間本来のありのままの自然な姿なのです。前回(http://president.jp/articles/-/20185)は、そのことをお話ししました。

 ハーバード大学のエルゾ・ラットマー教授(経済学)も2005年に論文でこう述べています。

 「隣人達の収入が上がることは、自分の収入が減ることと同じ程度の不幸をもたらす」

 おそらくこうした心理は古今東西の人間の真相なのではないかと思います。

 ただ、前回の私の原稿に対して読者の皆さんからかなり強い反発がありました。

 「他人の不幸を喜ぶのは不謹慎だし、自分はそんなことはしない」
「他人が優れたものを持っていることについて、嫉妬することはいけないことだし不道徳だと思う」

 あるいは、宗教的な観点から、

 「妬みは7つの大罪のうちのひとつであり、そのような感情は死に至る罪だ」

 というものが多かったです。

 

これまで、私たちは、「他人の不幸を喜ぶのは不謹慎で不道徳なことだ」というように教えられてきました。

しかし、この記事では、人間が妬みの感情を持っていることは本能に近く、「妬み」は「悪い心」ではないと主張しています。

さて、「他人の不幸は蜜の味」の科学的証明方法ですが、脳の血流量をfMRIで映像化して、脳が活性化している場所を特定するという方法です。※fMRIは「機能的磁気画像共鳴法」というものです。

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では、このfMRI(機能的磁気画像共鳴法)とはどんな装置でしょうか。

ヒトの脳が働いている部位では大量に酸素が消費されることで、それを補うために血液量(酸化型ヘモグロビン含む)も増え、相対的に還元型ヘモグロビンが少なくなります。そのようにして血液中の酸素濃度に変化が起こります。この変化がMRI信号に影響を与えることを利用して脳の活動を視覚化する。それが、fMRIの仕組みです。

1秒間に10枚を超える高速で脳の断層写真を撮影した場合、血流動態反応が画像化できて、これによって脳のどの部位が活動しているかが分かります。そして脳のどの部位がどのような感情や欲求をつかさどるかを特定することで心がビジュアル化されるというのがざっくりとした考え方です。

 

そこで、人間に妬みの感情が起きた場合、脳のどの部位にどんな反応が起こるのか、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦淳教授が以下のシナリオを使って、妬みの感情をfMRIで観察しました(『なぜ他人の不幸は蜜の味なのか』高橋英彦著)。

【被験者】
●主人公(男) 学業は平均的男子大学生、野球部で補欠、貧乏で寮暮らし、恋人なし
●一郎 学業優秀、野球部でエース投手、経済的に豊か、女子学生にモテる
●花子 学業優秀、ソフトボール部でエース投手、経済的に豊か、男子学生からモテる
●並子 学業は平均的、ソフトボール部で補欠、男子から人気なし

*女性の被験者の場合には、主人公を女性として性別を入れ替えたシナリオにします

ご想像のように、主人公は一郎を最も妬ましく思い、次に花子を妬ましく思いました。並子は妬む理由がないため無関心でした。主人公が一郎や花子のプロフィールを見た際に、脳で活動した領域は、前頭葉の前部帯状回の上の部分でした。この部分は、身体の痛みの処理に関係している部位。つまり、「妬みとは心が痛いことである」ということができるかと思います。

 

実験によると、被験者が嫉妬した際、活発に活動した脳の領域が身体の痛みの処理に関係している部位だったというのです。だから、「妬みとは心が痛いことである」と結論付けています。

そこで、その妬ましい他人に不幸が起こった場合には、前部帯状回の心の痛みがやわらぎ、それと同時においしい食べ物やお金を得たときのように、無意識に自然と喜びが湧き上がってくるのです。

つまり、「他人の不幸は蜜の味」ということになります。

 

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