ベーシック・インカムとはどういうことでしょうか

SWIの「10カ国語でスイスのニュース」というスイスに特化したニュースサイトがありました。
こんなサイトが在るとは知らなかったですが、ユニークでおもしろいですね。

さて、ここに「ベーシック・インカムを導入するかどうか」の国民投票が6月5日にあるという
ニュースが出ていましたので、まずこれを読んでみたいと思います。

ベーシック・インカム スイスで実現するか?
Sonia Fenazzi
2016-04-28 11:00まもなくスイスでは、世界初となる決定が国民に委ねられる。果たして政府は、国民一人ひとりに、その収入に関係なく生涯にわたって月々のベーシックな所得を無条件に給付していくことになるのか。「最低生活保障」(ベーシック・インカム)の導入をめぐり、賛成派は、「資本主義が支配し、労働において自動化が進む社会が生み出す問題への解決策だ」と主張。だが、反対派にとっては非現実的で危険な夢物語だ。
6月5日に国民投票にかけられる「無条件の最低生活保障(ベーシック・インカム)イニシアチブ」は、給与格差が拡大し続ける現代の社会構造にまで論議が及ぶ。また、以前のイニシアチブに比べると、デジタル化によって多数の解雇者を生み出す新しい社会現象の中で提案されたイニシアチブでもある。
賛成派は、生活に不可欠な基本的欲求を満たせるベーシック・インカムを無条件で国民全員に給付すれば、社会福祉への依存や貧困を無くすことができるという考えだ。また、ベーシック・インカムがあれば、国民は皆それぞれやりたい仕事に没頭でき、教育、創造性、ボランティア活動が促進されるほか、高齢や病気の家族の世話や育児にもより多くの時間を費やせると主張する。
政党ではなく、一般市民によるイニシアチブ
これは独立した一般市民からなるグループから生まれたアイデアだ。政党はまったく関心を示していない。連邦議会でも右派や中道派の政治家は全員拒否の姿勢を示し、わずかな支持が左派や環境派で見られたのみ。下院では反対157、賛成19、白票16で否決され、上院では唯一バーゼル選出のアニータ・フェッツ社会民主党議員が賛成票を投じた。
このフェッツ議員は、「この案件は、熟考し議論する価値がある」と言う。「おそらく20年後か30年後、仕事のデジタル化によって大規模な解雇が発生したときに具体的な解決策になるアイデアだと思う」
それに対し、ヌーシャテル選出のレイモンド・クロットゥ国民党下院議員は「むしろ、実現不可能なアイデアだ」と反論し、「膨大な費用がかかる」と指摘する。
連邦憲法に明記する文案は次の通りだ。「ベーシック・インカムは、国民全員に人間らしい生活と公的生活への参加を可能にするものである」。金額設定は立法機関に委ねられるが、賛成派は議論の基礎になる金額として、成人に月々2500フラン(約29万円)、未成年に同625フランを想定している。
「2012年の人口統計を基にすると、国家の負担は年間2080億フラン。国内総生産(GDP)の約35%に当たるすごい金額だ!」とは、クロットゥ議員のコメントだ。
イニシアチブは財源についても何も定めていない。可決された後、これを実現するための法律で決めることとしている。賛成派は、給与天引きと社会保障の給付金からの振り替えで大半を賄うのがよいとの見解を示す。推計250億フランに上る不足分は、国家予算の積み替えもしくは税金で補完可能だという。
「こんな時期に、250億もの追加税収はまず得られないだろう」とクロットゥ議員は言う。発起者は付加価値税の引き上げを提案しているが、実現すれば物価は継続的に8%上昇する。「そうなればスイスの購買力は落ち、国家経済が衰弱してしまう」
フェッツ議員も付加価値税(消費税)の引き上げには反対だ。「だが、これは数ある提案の一つに過ぎない。財務取引にミニ税金をかけるという意見も、ある程度支持されている。私もこれはいい案だと思う。コンピュータに税金をかけるのもいい。労働がデジタル化していくという観点から議論が行われているのだから、財源もこの方向で探すべきだ」
先手を打つ。でもどうやって?
フェッツ議員はまた次のようにも述べる。「今から財源について議論するのは間違いだ。ベーシック・インカムは今日や明日のためのものではない。問題は、伝統的な収入が労働から得られなくなったときに社会が何をするか、ということだ。自動化や綿密に作られたコンピュータプログラムが、ごく単純な仕事から非常に優秀な能力を必要とする仕事まで、すべての職業において雇用の大部分を不要にしてしまったら、私たちはいやが応でも答えを見つけ出さなくてはならない。それなら守りに入るより先手を打った方がよいというのが私の意見だ」。
一方のクロットゥ議員は、「これは先手ではなく、本末転倒だ」と切り返す。「どうやって収入を作り出すかは、いずれはよく考えなければならないだろうが、偽ロボット化が進んでも、人の手はこれからもずっと必要とされる。コンピュータの後ろにいるのは原則的に人間だ。消滅してしまう職もあるだろうが、新しく生まれる職もあるはず。私にしてみれば、先手を打つというのであれば、教育と経済の関係を強化することだ。特に教育は、社会の変化を注意深く見つめ、技術の発展や経済の要求と足並みをそろえたものにしなくてはならない」
左右両派から出ている批判もある。「これはスイスの社会制度全体にかかわってくる問題」という声だ。だがフェッツ議員は、「ベーシック・インカムはすべての社会保険に取って代わるものではない」と抗弁する。「現在、社会保険はすべて合わせて13ある。その数を削減することになれば、それは社会制度を今後の新しい取り組みに適応させるよいチャンスになるかもしれない」。大きな変化の兆しがそこに見えているのに、完全雇用という原則に基づく制度を今後も続けていくには無理があるというのがフェッツ議員の考えだ。
対するクロットゥ議員は、次のようなリスクを指摘する。「完璧ではないがとてもよく機能し、労働や継続教育への意欲をかき立てている制度を破壊してしまうかもしれない。そうならないように、この制度を改善し強化する必要がある。そして、給与をもらって生活している人や企業に大きな負担をかけ、労働の意欲を失わせるような給付の導入も阻止しなくてはならない」

 

この記事でベーシックインカムについておおよそのことがわかりました。

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この記事にはさらに「ベーシックインカムの仕組み」について、記述がありましたので

それを読んでみましょう。「ベーシックインカム」は日本語では「最低生活保障」というらしいですね。

「最低生活保障」(ベーシック・インカム)の仕組み
発起者の提案は次の通り。非就業者にはベーシック・インカムを無条件で給付する。就業による収入がある人の場合、給与の中からベーシック・インカムに相当する金額が吸い上げられ、その代わりに、ベーシック・インカムが給付されるので、収入に変化はない。
具体的な例を示すと、月1500フラン(約17万円)の収入がある人は、ベーシック・インカムを仮に2500フランと設定すると、千フランの追加収入を得る。給与が2500フランの場合は、収入に変化はない。
6500フランの収入がある場合は、2500フランがベーシック・インカムの財源としてすい取られ、給与の金額は4000フランとなる。だが、ここにベーシック・インカムとして2500フランが支払われるため、最終的には合計6500フランの収入となる。
社会保障の給付金にもこれと同じ方法が適用される。上限の2500フランまではベーシック・インカムによって補償され、それ以上の分はこれまで通り社会保障制度から給付される。
この方法で、ベーシック・インカムに必要な財源の約88%をカバーできる。残りの12%については、新しい税金を導入するなどして別の財源を確保しなければならない。あなたならどうする?
最低生活保障額として国が月々2500フランを無条件に給付することになったら仕事を辞めるという人はわずか2%。状況によっては辞めるかもしれないという人は8%。
これは、発起者の依頼により世論調査機関デモスコープが行ったアンケート調査の結果で、昨年11月末にドイツ語圏とフランス語圏の有権者1076人が回答した。(出典:スイス通信SDA/ATS)

上記の記事を読んで、やろうとしていることはわかりましたが、
まず、そんなことができる財源があるのとかいう疑問が読みながら
わいてきました。同時に、その財源は誰が稼ぐのか?という疑問。

別のサイトを覗いてみます。

スイス、ベーシックインカム導入の可否を決める国民投票を6月5日に実施へ
Posted 22 days ago, by James Jackson
スイス政府は、ベーシックインカム導入の可否を決める国民投票を6月5日に実施することを決定した。この国民投票の結果、導入が決定した場合には、スイスの全成人の居住者に対して1カ月2600ドル(約28万3400円)の最低所得が保証されることとなる。この給付金は、所得税の対象外ともなっており、スイスの成人は、給付金の全額をそのまま生活費に充当することも可能となっている。また、子供を持つ家庭には、この他に未成年1人あたり650ドルの給付金が加算される仕組みとなっており、夫婦と子供が2人の平均的な家庭で夫婦が無収入の場合には、月6500ドル(約70万8500円)、年収換算だと米国などの先進工業国の平均世帯収入を大幅に上回る7万8000ドル(約850万円)が支給されることとなる。ただし、このベーシックインカムは、最低所得を保障するものとなるため、仮に支給者が既に1000ドルの所得を有している場合には、給付金の額は1600ドルに減額されることとなる。
スイスではこれまで、知識人などが中心となってベーシックインカム導入の国民投票を実施する請願運動が拡大。この請願運動の賛成者が最終的、国民投票実施の要件となる10万人を超えたことから、国民投票が実施されることとなった。

スイス政府では、ベーシックインカムには原則反対の意向を示している。
また、事前に実施された世論調査では、僅差でベーシックインカム反対派が賛成派を上回る状況となっている。

驚いたことに、事前の世論調査ではベーシックインカム賛成派は反対派に負けては
いるもののその差は僅差だったらしいですね。
ベーシックインカムとは、日本に当てはめて考えれば、国民全員がいわば生活保
護費をもらうということになるのではないでしょうか。もちろん仕事で収入のある人は
受け取った生活保護費と同額を国に拠出することになるのですが。

日本は現在の生活保護費の財源を捻出するだけで困っているのに、国民1億2千万人分の
生活保護費を捻出するということになるのかな。
どうもこのベーシックインカムの話はスイスのような国民が少人数でかつ1人あたりの
所得が大きい国にしか導入できない制度ではないかな。

最後に、その長所、短所をウィキペディアで勉強しましょう。
ただし、この記事は“言葉を濁した曖昧な記述になっています。”となっていますので、
それを念頭において読んでください。内容は大いに参考になります。

ウィキペディアのベーシックインカムから、そういうこともあるかなと思えるものだけ、抜粋して以下にまとめました。

メリット

ベーシックインカムは、年金・雇用保険・生活保護などの社会保障制度、公共事業を縮小することにより、「小さな政府」を実現するのに役立つといわれている。
また、最低限の生活を保障という点から、企業は雇用調整を簡単に行うことができるようになり、雇用の流動性が向上し、新産業創出などの効果があるという意見がある。
①貧困対策
ベーシックインカムの基本的な目標は一定の所得を無条件で保障することで、すべての国民が最低限以上の生活を送れるようにすることである。ワーキングプア問題への処方箋として期待する向きもある。
②少子化対策
ベーシックインカムは世帯ではなく個人を単位として給付される。子供を増やすことは世帯単位での所得増加に繋がるため、少子化対策となりうるという考えがある。
③地方の活性化
ベーシックインカムの給付額は生活に必要な最低限といわれることが多い。全国一律であると仮定した場合、物価の安い地方に生活する動機付けになるという意見がある。
④行政コストの削減
社会保障制度を簡素化する場合において、それらの運用コストは簡素化に応じて削減される。これはベーシックインカムの導入目的の一つでもある。さらにベーシックインカム実現への課題の一つである財源問題を(他の手段によることなく)同時に解決可能との意見もある。
⑤労働意欲の向上
現在の年金や生活保護の制度には所得制限があり、働いて収入を得ると年金や生活保護の減額や支給停止が行われ収入が減少するため労働意欲の低下をまねいている。さらに真面目に働くより、全く働かず生活保護に頼るほうが収入が多くなる逆転現象が発生するため、現在の年金や生活保護の制度は更なる労働意欲の低下をまねいている。
一方ベーシックインカムは所得制限がないため、働けば働くほど収入が増える。そのため労働意欲が向上するという意見がある。
⑥非正規雇用問題の緩和
正社員という制度が、同じ労働を行う非正社員との間の、賃金や社会保障における格差を生んでいるという考えがある。例えば、非正社員等のワーキングプアは正社員とは違って給与が比較的安い上、国民健康保険や住民税について、前年の年収に基づいた査定がなされて支払う金額が乱高下する。また、ワーキングプアの多くは雇用が不安定であることから、正社員のように給与所得控除など各種の減免措置を受ける機会が乏しい。そのため、比較的裕福な正社員に比べ、ワーキングプアの方がより高い税率で課税されかねない悲惨な現状がある。これを是正する方策として、ベーシックインカムの導入は有効である。

課題と批判[編集]

①財源の不安
ベーシックインカムはその莫大な財源をどこに求めるのかという点がつねに議論の的となる。これについては#財源案を参照。
②勤労美徳
一つは、労働は対価だけではなく成長や学習の場で、そこに参加しない動機付けを与えるのはよくないという考え(これについては「生きがいの喪失・閉塞感」も参照)。また聖書からよく意味をすり替えて引用される「働かざる者食うべからず」[21]という労働の対価以外の所得を否定する考えで、定額給付金、子供手当て、または各種配当金などの不労所得を否定する考え方に収斂するという意見もある。
③財源との関係での精神論
財源の種類については#財源案参照。
財源を#税収でおこなう場合、労働と貨幣の給付が非常に強く結びついている人に対し、納めた税金を働かない人間が消費することへの同意を得る事は難しいという意見と、その一方で、人権思想に基づいた考えや、#景気刺激策としての効果としての側面から同意が得られる可能性があるという意見がある。また、財源を#貨幣発行益で実行する場合、納税された税金以外の大量の貨幣を政府が発行することに違和感を覚える人が現れるという意見もある。
④犯罪の増加
刑務所に入ったあとでも生活の維持が容易になるため、刑罰による犯罪の抑止効果が減少するという意見がある。
⑤生きがいの喪失・閉塞感
勤労美徳と関係するが、労働は対価だけを目的とするのではなく生きがいを提供するという機能も持つため、目標を喪失する個人が大量に現れるという意見がある[要出典]。逆に、ベーシックインカムは働くことを抑制するわけではなく、今まで通り働くのも選択肢の一つだという考えがある[要出典]。
⑥消費者金融の担保になる
ベーシックインカムが消費者金融からの借金や賭博に使われ、貧しい人がさらに借金を膨らませるという意見がある。
⑦地球資源・環境の破壊
人々がより多くのお金を手にすることで、家電などの買い換えサイクルが加速し、資源の枯渇、環境破壊が進むという意見がある。
⑧詐欺
近年問題となっている年金詐欺(家族の死亡を隠し年金を騙し取る犯罪)と同種の詐欺があらゆる年齢で発生する懸念がある。

日本におけるベーシックインカムについては、まだ研究段階のようである。
政治家に対するアンケートとしては、2010年参院選政党所属候補者に対する意識調査がある。
この調査から同じ政党内にベーシックインカム賛成派と反対派の両方が所属していることがわかり、
その内、当選した議員については、賛成派と反対派がほぼ同数であった。

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