妻が、不妊治療で凍結保存していた受精卵を自分に移植し、15年4月に長女が誕生しました。

これだけ聞くと、ずいぶん、めでたい話なんですが、厄介な問題に発展しています。

妻が受精卵を移植したときは夫婦はすでに別居中で、しかも夫に無断で移植したため、

夫が長女との親子関係不存在の確認を求めて奈良家裁に提訴しているのです。

別居中ということで、実質的な夫婦関係も破たんしており、夫は昨年10月に妻と離婚していま

す。

 

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<奈良の病院>夫に無断で受精卵移植 別居の妻出産
毎日新聞 1/4(水) 7:00配信

不妊治療を手がける婦人科クリニック(奈良市)の男性院長が2014年、凍結保存された別居中の夫婦の受精卵について、夫の承諾を得ず妻に移植していたことが分かった。妻はこの体外受精で妊娠し、長女を出産。院長側は毎日新聞の取材に無断移植を認め、「軽率だった」と話した。日本産科婦人科学会(日産婦)には移植ごとに夫婦の同意を求める倫理規定があり、院長の行為はこの内規に抵触する恐れがある。

夫は昨年10月に妻と離婚し、長女と親子関係がないことの確認を求めて奈良家裁に提訴した。長女は戸籍上、今も夫の娘になっている。生殖補助医療の専門家によると、受精卵の無断移植が表面化するのは初めてとみられる。

夫婦関係にあったのは奈良県内に住む外国籍の男性(45)と、日本人女性(45)。男性の代理人を務める大阪の弁護士や訴状によると、2人は04年に結婚した。約7年前にクリニックで不妊治療を始め、体外受精で複数の受精卵を凍結保存した。女性は受精卵を順に移植し、11年に長男が生まれた。

2人は13年秋から、関係が悪化して別居。女性は14年春以降、クリニックに凍結保存された残りの受精卵を数回にわたって移植したという。妊娠後に男性に打ち明け、15年4月に長女が誕生した。クリニックは2人が治療を始めた10年に一度だけ移植への同意を確認する書面を作ったが、以降はこの手続きを省いた。

男性側は昨年12月、奈良家裁で開かれた第1回口頭弁論で「同意がない移植による出産を民法は想定しておらず、血縁を理由に親子関係を認めるべきではない」と主張。女性側は無断で移植したことを認める一方、「親子関係を否定する法律はない」として争う姿勢を示した。

男性は今後、院長と女性に損害賠償を求める訴えも奈良地裁に起こす。

体外受精を巡っては、国内に同意手続きを定めた法律はない。一方、日産婦は不妊治療を行う全医療機関に対し、倫理規定で移植ごとに夫婦の同意を確認するよう求めている。

 

一番尊重すべきは、生まれてきた子供を幸せにすることですが、大人の事情が・・・

女性は妊娠後に別居中の夫に打ち明けていますが、夫の立場からすると「頭にくる」話です。

男性側は昨年12月、奈良家裁で開かれた第1回口頭弁論で「同意がない移植による出産を民法は想定しておらず、血縁を理由に親子関係を認めるべきではない」と主張。女性側は無断で移植したことを認める一方、「親子関係を否定する法律はない」として争う姿勢を示した。

男性は今後、院長と女性に損害賠償を求める訴えも奈良地裁に起こす。

体外受精を巡っては、国内に同意手続きを定めた法律はない。一方、日産婦は不妊治療を行う全医療機関に対し、倫理規定で移植ごとに夫婦の同意を確認するよう求めている。

 

遺伝的には完全に実子ですから、扶養義務や相続関係も生じます。

ですので、「体外受精を巡っては、国内に同意手続きを定めた法律はない。」ということです

が、常識的には絶対、同意は要ると思うんですよね。

だって、扶養義務や相続関係が生じるのですから、夫には大問題です。

 

元日産婦理事長の吉村泰典・慶応大名誉教授は、「受精卵は夫婦のもので、使用には双方の同意が不可欠だ。今回のケースが事実ならば、院長の行為は内規違反でお粗末だ」と語った。

院長の代理人弁護士は取材に応じ、「男性の同意を得ていると思って施術したが、慎重に確認すべきだった」。妻は代理人を通じ「取材に答えられない」としている。

 

「日産婦は不妊治療を行う全医療機関に対し、倫理規定で移植ごとに夫婦の同意を確認するよう

求めている。」・・・・当然のことです。

 

離婚する前の夫婦の関係・事情はわかりませんが、女性側が無断で移植したことを認めておきな

がら、「親子関係を否定する法律はない」と言って争う姿勢を示したのを見ると、離婚した男に

扶養義務を負わせたり、「相続権も確保するで」といった元妻のしたたかさを感じます。

夫の訴訟の行方は、どうなっていくのでしょうか。

 

なお、こちらの記事には、夫婦の事情がもう少し詳しく書いてあります。

毎日新聞

受精卵無断移植 提訴の元夫、娘にどう接したら
・・・・・
「彼女は2人目を身ごもっている」
2014年の秋、男性は母国から来日中の母親の言葉に耳を疑った。母親が孫の長男を保育園へ迎えに行った際、居合わせた女性から妊娠を告げられたと説明した。男性と女性はこの時、既に別居中だった。男性が問い詰めると、女性は言葉を絞り出した。「年齢の問題もあるし、2人目をあきらめられなかった」。長男の出産前、凍結保存した受精卵を無断で使ったと告白した。

 夫婦は結婚後、なかなか子宝に恵まれなかった。「子供ができれば家庭は幸せになる」。そう考え、クリニックの門をたたいた。体外受精や受精卵の移植に同意し、長男を授かった。

 しかし、夫婦関係は13年秋ごろに悪化。男性は幼い長男を残して家を出た。共働きだったため、長男の保育園の送り迎えなどに男性も関わった。別居の数カ月後、元妻から「どうしても、もう1人ほしい」と懇願されたが、男性は「子供は1人で十分」と断った。

 妊娠発覚後、男性は移植を行ったクリニックの院長に詰め寄った。院長は「夫婦で結論を出したと思った」。そして、女性に同意書面の提出を求めず、移植したことを認めた。

 2人は離婚し、男性は長女と顔を合わせないようにしている。ただ、成長した長女からもし面会を求められたら、断る自信はない。非のない長女への思いは揺れたままだ。

 男性は複雑な表情で言葉を続けた。「親の了解なく、受精卵が移植できる現状はおかしい」。裁判では生殖補助医療のあり方も問いたいと考えている。

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