「EM菌」ってよく聞きますよね。

よくご存じの方はどれくらいいらっしゃるんでしょうか。

私は、その効能の真偽について、いろいろと話題を呼んでいる菌だという
ことは知っていましたが、EM菌がどんな菌かは知らないまま、今日に至
りましたので、少し勉強してみます。

「EM菌」というくらいだから、そういう名前の菌類がいるのかな?

「コトバンク…朝日新聞掲載キーワード」によると

EM菌とは
有用微生物群の英語の頭文字から取った。琉球大農学部の比嘉照夫教授が乳酸菌や酵母菌など80種の微生物を培養して土壌改良剤として開発し、主に農業に利用されている。川底にたまったヘドロに含まれるアンモニアやメタンなどを有用物質に変え、悪臭除去や水質浄化に有効とする事例も報告され、試験的に導入するところが増えている。九州では、観光川下りで有名な掘割の浄化に取り組む福岡県柳川市が知られている。

なるほど、EM菌という種類の菌が存在するのではなく、有用微生物群の総称なんだ。

それで、 株式会社EM研究機構のホームページの記述を見ると、

EM菌を構成する菌群として、「乳酸菌」「酵母」「光合成細菌」の3種類があげられていました。(下記)

乳酸菌

分類学上は、細菌の一種で、糖を大量の乳酸に変える (乳酸発酵)微生物の総称です。この微生物の特徴は、他の微生物と比較的容易に共存共栄できる点です。

乳酸菌は、1857年、Pasteurによって発見されて以来、長寿と健康に最も影響を与える微生物として、注目されてきました。最近の研究では、乳酸菌による整腸作用の他、免疫賦活、抗腫瘍性、抗変異原性、血清コレスレロール低下作用、血圧低下作用などが明らかとなってきました。・・・(中略)

酵母

酵母とは、「発酵のもと」と言う意味で、お酒の醸造やパンの製造には欠かせない微生物です。酵母をはじめに発見したのは、微生物の世界を発見したオランダ商人Antony van Leeuwenhoek (1632~1723) で、当時の人々に驚きを与えたと言われています。

酵母は、分類学上は、真菌類 (カビ) の一種です。カビとことなる点は、一生のうちのほとんどが、単細胞で生活している点です。微生物の世界の中では、小さなグループですが、人間の生活には欠かせない微生物です。・・・(中略)

光合成細菌

光合成細菌は地球上の酸素が現在の濃度になる以前より存在している古い細菌です。その名のとおり、太陽エネルギーを利用してさまざまな有機物や無機物を代謝することができます。

光合成細菌は水田や湖など地球上至るところに存在しています。実用面では、光合成細菌は特に環境分野でその力を発揮することが知られています。・・・(中略)
光合成細菌の代謝系は非常に多様であり、地球上での窒素循環、炭素循環の中で重要な働きをしています。また、光合成細菌はEMの中でも中心的な役割を果たしており、不可欠な存在といえます。

光合成細菌については、藍色細菌、紅色細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌等がありますが、
EM菌に含まれている光合成細菌とはどれのことでしょうか。
光合成細菌はEMの中で中心的な役割をすると書いてありますが、その割には
詳しい記述がありません。

 

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さて、この微生物群が全体としてどんな働きをするかについては、株式会社EM研究機構
の記述をみても、科学的な根拠が書いてないのでよくわかりません。
個々の細菌、すなわち酵母はアルコール発酵で人間の生活に役立っていますし、
乳酸菌は乳酸発酵で役立っています。

光合成細菌も環境維持には必要でしょうし、何といっても光合成を
行うということは、無機物から有機物を合成するという大きな意義が
あります。

ただ、光合成細菌は、光エネルギーと硫化水素を使って、二酸化炭素を同化するところが
緑色植物と違います。
普通の緑色植物は、中学校でも勉強したように光エネルギーと水を使って、炭酸同化を
するんですよね。
水+二酸化炭素+光エネルギー➡ブドウ糖+酸素

さて、この辺りのことまでは科学的に確からしいと理解できるのですが、
EM菌の効能は今や、何にでも効くと宣伝されているようです。
中でも、ひどいのは、「放射能を除去する」というのもあります。

結局、EMと名付けたら売れるということで、開発した会社も含め、
ありとあらゆるものにEMと名付けていったため、「EM菌」は
似非(エセ)科学と言われるようになったのではないかな。

実際に商品群をみても、こんな商品のどこにEM菌が存在するのかと
疑問に思うものも多くありました。

EMなどのニセ科学とどう向き合うか- 片瀬久美子
WEB第三文明2013年12月22日 08:43 サイエンスライター片瀬久美子

効果がはっきりしないEM
東電福島第1原発の事故以来、放射線対策として、「EM(菌)」を利用する動きがあります。

EMとは、Effective Microorganisms(有用微生物群)の略称です。はじめは土壌改良を目的とした微生物資材として作られ、1980年代の初めに琉球大学農学部の比嘉照夫教授(当時)によって、農業用資材として本格的に開発されたものです。成分の詳細は明らかにされていませんが、乳酸菌や酵母などを主体とする微生物の共生体だそうです。

EMは当初は「環境にやさしい農業資材」として売り込まれ、土壌改良に利用されました。EMの培養液やEMで作った肥料を土に混ぜ、豊かな土壌を作ろうというものです。それがやがて、水質改善にも効果があるなどといわれるようになり、用途が広がっていきました。EMを土と混ぜて団子状にしたEM団子や、「EM活性液」を川や湖に入れて、水質改善を図ろうとする人や団体が少なくありません。またEMのまねをして後から出てきた「EMもどき」も広がっています。

EMを河川や湖、海に投入するような運動の多くは、民間の社会奉仕団体、NPO(民間非営利団体)、地域の有力者らを中心とする「善意の活動」として広まりました。総合学習の授業など教育現場にも広まっています。果たしてEMには本当に水質浄化作用があるのでしょうか。

・・・(中略)

「批判」の難しさ
農業資材として開発されたはずのEMですが、今や驚くほどいろいろな場面で効果があるとされ、もはや「万能薬」の様相を呈しています。EMの耐熱温度は当初に比べどんどん上昇し、開発者の比嘉氏によれば摂氏1200度まで耐えられるとされ、2000度でも大丈夫という人もいます。

・・・(以下略)■

EMとは、Effective Microorganisms(有用微生物群)の略称で、はじめは土壌改良を目的とした微生物資材として作られたということです。
ここまでは、正しいと思いますね。
昔から土壌改良のために、たい肥をつくり、畑や果樹園に撒いていたのですから。
このたい肥の中に「酵母菌」もいれば「乳酸菌」もいるはずです。

EM菌などと大げさに言わなくても、昔ながらのたい肥です。
我が家も昔、農学部出身の父が、稲わらや鶏糞を混ぜて畑に積んでおくと
そこから湯気が出て、その中に手を入れると暖かった思い出があります。
稲わらが発酵していたんですね。

その本来は土壌改良材であったEMと称するものが、現在では
「口蹄疫に効果がある」「鳥インフルエンザを防ぐ」「がんに効く」
などと言われているようです。
さらに、いうに事欠いて、「体質改善をする」「がんなどのさまざま
な病気に効く」、「EMはX線やガンマ線をエネルギー源にする」
「放射能を消す」「除染に役立つ」とまで、喧伝されているようです。

私たちは重篤な病気にかかると、本人はもとより、家族も「藁をもすがる気持ち」
になります。
私も兄弟が癌になったときには、自然と神社やお寺にお祈りする気持ちに
なりました。

ただ、このことは、科学を知らない無知蒙昧な在りようというわけでは決してありません。
家族を思う人間の当たり前の心です。人間が人間たる所以(ゆえん)とも言っていいでしょう。

問題なのは、こういう人間の心情に付け込む輩がいるということです。
私たちは家族のために祈りますが、だからと言って癌を治すという
100万円のガラス玉を買ってはいけないのです。

EMははたして、どうなんでしょうか。

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