折に触れて、私は教職員の時間外労働が過重すぎると言ってきましたが、この記事ではその「ブラック時間外労働」の実態がわかりやすく、書かれています。

新任教員の残業 月平均90時間 名古屋 ―運動部指導で若手に多忙のしわ寄せ
内田良 | 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授
2016年10月30日 5時55分配信

新任教員は8月を除くすべての月で、時間外労働の平均が「過労死ライン」を超えている
■安倍首相 教員の長時間労働に言及

政府の教育再生実行会議が28日に首相官邸で開かれ、安倍首相が教員の長時間労働に言及した。
報道によると安倍首相は、「学校教育においても教師の長時間労働が顕在化している。教師のみが部活動を担うのは限界があり、今の部活の在り方については、見直しの必要がある」との見解を示した(NHK NEWS WEB)。「ブラック部活」をはじめ、教員の過重な負担が話題になっているなかで、ついに安倍首相の口からも、教員の働き方、部活動のあり方について、見直しが提案されたのである。

■新任教員 月平均90時間の残業

教員の長時間労働についてその詳細な実情が、今年の6月に雑誌『季刊教育法』に発表された。名古屋市の新任教員に関するデータで、その一年間の勤務状況を見てみると、時間外労働時間(残業時間)が月平均で90時間に達しているというのだ。
教員の具体的な労働時間についてはこの数年大きな話題になっていて、調査もいくつか実施されてきている。だが同誌に掲載されたデータは、後に示すとおり、とても具体的で詳細なものであり、従来の調査よりもリアルな現状が見えてくる。
データを発表したのは、大橋基博氏(名古屋造形大学・教授)と中村茂喜氏(元名古屋市立中学校教員)である。両氏は、市教委から入手した資料をもとに、2015年度の新任教員25名の出勤と退勤の記録を分析し、各月の時間外労働の時間数を算出した[注1]。
その結果、新任教員の時間外労働は月平均で90時間となり、8月を除くすべての月で、時間外労働の平均が「過労死ライン」の80時間を超えていることが明らかとなったのである。

 

 

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新任教員について論じられていますが、こういう過重残業の実態は新任教員だけでなく、中堅教員はもっとひどい状況に置かれています。

 

■子どもの長期休暇に関係なく残業8月は、子どもは夏休みであるが、教員は働いている(拙稿「学校の先生に夏休みはある?」)。さらには8月でも、平均で26時間の時間外労働が確認できる。
子どもの長期休暇(春休み、夏休み、冬休み)がある月(4、7、8、12、1、3月)を除くと、時間外労働は月平均102.8時間に達する。そのなかでもっとも厳しいのは10月で、平均115時間である。
そして子どもの長期休暇を含む月であったとしても、月平均78時間に達する。子どもは休みでも、新任教員は残業するのはもちろんのこと、その時間数は過労死ラインとほぼ同程度に達する。

 

こうした夏休み等の長期休業中の実態も意外と世間に知られていません。

未だに、「夏休みは休めて、先生はええなあ」などと誤解している人もいます。

夏休み等は、高校の場合、研修や地域への「学校公開」や部活動の練習、遠征試合など、超多忙なのです。

■月100時間超は当たり前大橋氏・中村氏が提示したデータの詳細を見てみよう【表1】。
表1には、各新任教員における毎月の時間外労働時間が掲載されている。各セルの数字は、時間単位であり、分は切り捨てられている。また元のデータには、各日のなかで未記入の日もあるという。つまり、実際の数字は表に記載されたものよりも大きい可能性がある。
表の各セルを見てみると、100時間を超える月が目立つ。
最大値は、上から19番目の教員が6月に182時間を記録している。また、5番目と17番目の教員は、8月を除くすべての月で100時間を超えている。そして年間で1400時間(毎月平均117時間)を超える教員が、25名中3名いる。
そして忘れてはならないのは、平日の時間外労働については、残業代はいっさい支払われないということである。不払い労働で、過労死ラインを超える時間外労働が常態化している。重大な問題である。

 

上記の記事にあるように、平日の時間外労働については、残業代はいっさい支払われないということも世間には知られていません。

また、土日の時間外労働代金も以前は、丸1日働いて、2千円前後でした。

こんなことは、民間企業では考えられないことでしょう。(もちろん、残業代どころではない中小企業があることは理解しています)

さて、つい最近、「電通」の新入社員が過重労働で自殺に追い込まれましたが、過重労働という点では教員も似たような状況に置かれています。

少し前までは「燃え尽き症候群」などと呼ばれていましたが、今は身体的にも精神的にも時間的にも追い詰められ、まじめで優秀な教員が心身症に追い込まれるケースが少なくありません。

安倍首相がこのたび、「学校教育においても教師の長時間労働が顕在化している。教師のみが部活動を担うのは限界があり、今の部活の在り方については、見直しの必要がある」との見解を示されました。

早急に具体的な施策を打ち出してほしいと思います。

 

 

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