インターハイで異例の長時間延長戦

仙台市で開催されている全国高校総体(インターハイ)剣道の部、男子個人4回戦で、約1

時間の延長戦がありました。

その結果、延長戦でも勝負がつかず、異例の再試合ということになりました。

 

〈スポンサーリンク〉

 

延長戦のルールとしては、勝負が決するまで試合を中断させることはないのですが、

選手の健康面、試合運営上のことを考え、審判長の判断の下、インターハイ史上、

初めての「引き分け再試合」にしたのでしょう。

高校剣士の熱戦、竹刀も換えて1時間 前例ない事態に… 朝日新聞デジタル2017年8月10日』

 

このインターハイの試合時間規則は、試合時間は4分で、時間内に勝負が決しない場合は

延長戦に入り、どちらかが1本を先取するまで、時間無制限で延長戦が継続します。

延長戦に要す時間は、当然個々の試合で違っていますが、選手も監督も昔に比べ、負けない

ための研究を進めており、双方が負けないので、当然、延長時間は長くなります。

一概には言えないけど、普通の延長戦は、長くても15分前後には勝負がつくことが多いです。

 

さて、この延長戦を戦ったのは、九州学院(熊本)の岩切勇磨(3年)選手と高千穂(宮崎)

の林拓郎(3年)選手でした。

どちらの高校も剣道の強豪校で、2人の高校生は、高校剣道界のトップクラスの選手です。

ところで、この長時間延長戦の評価は

両選手は1時間もの間、集中力を持続させ、よく我慢して戦い、負けなかったのです。

一般論としては、全力を尽くした好試合と言えます。

 

剣道で良しとされる技

剣道では、負けを恐れず身を捨てて打った「無心の技」・「捨て身の技」を良しとします。

「捨て身」と言っても、体力的な苦しさに負けて簡単に切られにいくということではあ

りません。
双方が「捨て身の技」を繰り出せば、決着は自ずとついてきます。

例えば、捨て身で打った面が相手に見事に決まると、見ていた人にも相手にも感動を与えま

す。

捨て身の「面」を決められると、「頂戴しました」と打たれた方も相手の技に対する賞賛の

念がわきます。

また、捨て身で打った「面・メン」でも、相手がその「面」をかわし、隙のできた胴に打ち

込まれることがあります。

その場合は、相手が一枚上だったということです。

このように、捨て身の技を繰り出す試合は見ていて、見ごたえがあります。

 

ところが一方で、勝ちにこだわり、相手に打たれないことを最優先にする試合は、なかなか

勝負がつきません。

なぜなら、剣道は「小手」「面」「胴」「突き」と打つ場所が4か所に決められており、

相手がその4か所を防御することだけに専念すると、なかなか打ち崩せるものではありません。

最近は、こうした負けない剣道をする傾向が強くなっています。

全日本剣道選手権でも昔に比べると、最近は試合時間が長めになる傾向があるようです。

 

現代剣道と真剣勝負の違い

真剣を用いた戦闘であれば、どこを切っても勝ちにつながります。

例えば、古流に相手の鍔元を狙う技があります。

相手の親指を切り落とせば、相手はもう、刀を握れません。

その後、とどめをさせばいいのです。

また、浅傷でも、相手の眉間を切れば、血が流れ出て目を塞ぎますので、戦闘は非常に有利

に進めることができます。

真剣勝負はこのように、どこを切られても、致命傷につながりますので、剣道のように4か

所だけ防御すればよいなんてことにはなりません。

でも剣道は、有効打となる4か所を守れてしまうんですね。

「突き」など、真剣勝負ではどこを突いても勝ちにつながりますが、剣道では非常に小さな

「付き垂れ」部位に命中させないと、有効打になりません。

 

日本の伝統文化である剣道は、本来、勝てばいいというゲームではない。

捨て身で全力で戦うことこそ、「剣の道」なのです。

オリンピックの柔道で、勝ちにこだわった外人選手が卑怯な試合をしたことが話題になった

こともあります。【恥を知らぬ「卑怯者」、金メダリストのリネール選手。原沢選手は良く戦った

また、相撲では、横綱でありながら行儀の悪い外人力士もいました。

「横綱」とは本来、品格を伴う最高の位(くらい)であったはず。

相撲界も「相撲に人気がでればよい」ということでしょうか、あの行儀の悪い横綱を指導で

きていませんでした。

 

「柔道」や「相撲」をやっていながら、「何をやってでも勝てばいいのだ」という考えは、

金メダルや横綱を取っても、日本の武道精神がわかっていないということ。残念なことです。

 

さて、本日の再試合、両選手には、捨て身の技を繰り出す、立派な剣道をしてほしいですね。

〈スポンサーリンク〉