明治神宮外苑で開かれていた現代アートの展示イベントで、木製の展示品(ジャングルジム)が燃え、その中にいた子供(5歳)が逃げ遅れて死亡しました。
父親は助け出そうとしましたが叶わず、目の前で可愛い盛りの我が子が亡くなりました。何という悲しい出来事でしょうか。
ジャングルジムは木製で、その木枠の長さが短く、大人がくぐり抜けて中に入れないようでした。
〈出典:YouTube〉
朝日新聞デジタル2016年11月6日23時02分
東京・明治神宮外苑で開かれていたロボットやオブジェなど現代アートの展示イベントで6日夕、木製の展示品が燃え、遊びに来ていた5歳の佐伯健仁(けんと)君が火に巻き込まれて死亡した。晩秋の休日が一転し、会場には消火作業にあたる人たちの大声が飛び交った。
「子どもが中にいる!」。木製のジャングルジムから火が上がり、健仁君の父親とみられる男性が助けを求めて叫んだ。来場者によると、救急車や消防車を呼ぶ怒号がして、近くにいたスタッフらが消火器やバケツで消火にあたった。
ジャングルジムのそばにいた男性(32)によると、あたりが急に赤くなり、振り返ると、すでに火柱が5~6メートル上がっていた。「最初はキャンプファイアか何かかと思った」。しかし、警備員やスタッフが慌ただしく走って行き、火事だとわかった。その後、黒い煙が出始め、10分ほどで救急車が到着したという。現場にいた30代の男性は「子どもが中にいると聞き、助けようとしたが火の手が強く、手が出せない状態だった」と話した。
別の作品を出展した大学院生の男性は午後5時過ぎ、ジャングルジムの方から黒っぽい煙がもうもうと立ち上っているのに気づいた。「何かのパフォーマンスかと思った」。煙の方から来場者らの悲鳴が聞こえてきて、惨事だと分かったという。
この火事で健仁君が死亡したほか、救助しようとした父親(44)と40代の男性もやけどなどのけがをした。火災後、ジャングルジム周辺には規制線が張り巡らされ、警察官や消防隊員らが集まっていた。会場を訪れていた人たちが不安そうに現場を見守っていた。
火災の後もイベントは続いていて、ある出展者の女性(30)は「事務局側からは口頭で『ボヤがあった』という説明しか受けなかった」と話した。
ジャングルジムは非常に燃えやすい構造物でした。
ジャングルジムの出火前の写真と構造の写真です。(ヤフー画像)
まず、ニュースでも、中の木くずをおが屑と呼んでいましたが、間違いです。「おが屑」は鋸(のこぎり)で木材を切ったときにできる粉上の屑のことで、「大鋸屑(おがくず)」と書きます。
ジャングルジムに取り付けてあったのは、写真(上)でわかるように、鉋(かんな)で削ったときにできる鉋屑(かんなくず)です。鉋屑は、非常に燃えやすく、火種に使えるような素材です。
しかも、ジャングルジムは木製ですので、燃えやすいように木を積み上げているのと同じで、燃焼に必要な酸素供給がスムーズに行われます。ちょうど、キャンプファイヤーで木を燃えやすいように交互に積んでいくのと同じです。
こんな木製のジャングルジムに燃えやすい大量の鉋屑(かんなくず)が取り付けてあったので、いったん発火すればアッというまに燃え広がった思います。
このジャングルジムが、なぜ発火したのでしょうか。
ニュース発表がまだ、あいまいですが、どうやら鉋屑の中に、ライトアップのための「白熱電球」を入れていたようです。
「白熱電球」は発熱して高温になるので、一定時間、点灯を続けると鉋屑が熱を吸収して発火する可能性は非常に高いです。(低温発火の可能性も)
(低温発火)…低い温度(100~150℃)でも一定時間、木材が加熱されると熱を蓄えて、発火温度に達し燃え出すこと。近くに火炎が無くても発火します。)
理工系の大学生が作成したということですが、生活経験というか理科の常識が足りなかったと思います。
事故の恐ろしさ~油断するな。事故の芽はどこにでも潜んでいます
みんな善意でイベントに参加したのに、取り返しのつかない残念な結果になりました。子供相手の作品・イベントは、特に、あらゆる危険性を想定して、それを防ぐ手立てを考えておく必要があります。
消火器の準備は万全だったのでしょうか。
「スタッフらが消火器やバケツで消火にあたった」とありますが、十分な量の消火器を用意していたのでしょうか。燃えやすい構造体ではありましたが、消火器が十分な本数あれば、消火できたはずです。
ジャングルジムが燃えるとは、お父さんは想像さえ、できなかったと思います。同じ父親としておかけする言葉もみつかりません。
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