話題の水素水にはどれくらいの水素が溶けているか、計算してみたよ。~気体の溶解度~

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水には水素ガスがどれくらい溶けるか計算してみよう。気体の溶解度の問題。

1 まず、溶解度とは

一般に一定量の溶媒に溶解する溶質
最大量を溶質の溶媒に対する溶解度といいます。

溶質:溶けている物質のこと
溶媒:溶質が溶けている物質のこと
(例)食塩水
水が溶媒で、その水に溶質の塩が溶けている溶液のこと

2 気体の溶解度について

気体には水素や酸素、窒素のようにほとんど水に溶けない気体と
塩化水素やアンモニアのようによく水に溶ける気体とがあります。
塩化水素が水に溶けたものを塩酸といいます。
化学式はともにHClと書きます。
濃塩酸は溶媒の水に塩化水素(HCl)が最大量溶けたもので、
質量%濃度は37%程になります。
またアンモニア(NH3)が水に溶けたものをアンモニア水といい
薬局に売っています。
蜂や虫に刺されたときに、塗ったりします。
虫の毒は多くは酸性ですので、アルカリ性のアンモニア水で
虫の毒を中和してやることで、毒性を低下させるのです。

3 水素の水に対する溶解度

さて、次に水に溶けにくい気体の代表として、
水素(H2)について述べていきます。

水素は原子状の水素ではなく、分子としての水素ですので、
分子式はH2(エイチツー)です。
本当はHの右下に小さく2と書くのですが、
ブログでこのように書く術を僕は知らないので、
便宜、H2と書きます。

さて、水素が溶媒の水にどれだけ溶けるかということについては
圧力と温度が関係します。

①圧力との関係
一般に水に接している気体の圧力が高いほど、
その気体はたくさん水に溶け込みます。

このことについては有名なヘンリーの法則が
あります。・・・そんなに有名でもないか (^^;
あなたも学校で習ったの覚えていませんか?

ヘンリーの法則
一定温度で、一定量の液体に溶ける気体の質量は温度が変わらなければ
液体に接している気体の圧力に比例する。

この法則は、水素や酸素のように液体への溶解度が小さく
溶媒分子とも反応しない気体で、かつ圧力があまり高くない
場合について成り立つ法則です。

したがって先にあげた塩化水素やアンモニアには当てはまりません。
これらは水分子とよく結合し(水素結合)、水によく溶け込むからです。

②温度との関係

気体は一般に温度が高いと溶けにくくなります。
なぜかというと、温度が高いほど、気体分子の熱運動が
激しくなり、溶質である気体分子が溶媒分子との分子間力を振り切って
空気中に飛び出しやすくなるからです。

ところで市販されている炭酸飲料には液体(水)の中に炭酸ガス(二酸化炭素)
が溶けています。

二酸化炭素も水に溶けにくい気体ですので、約4気圧ほどに
加圧して、缶の中に溶け込む二酸化炭素量を多くしています。
(ヘンリーの法則から、私たちが生活している平地の環境より、
約4倍の二酸化炭素が溶け込んでいることになります。)
ちなみに1気圧は私たちが住んでいる平地の気圧と考えたらいいです。

さて、水素と水との間ではこのヘンリーの法則がよく当てはまります。
温度0℃、1013hPa(1気圧)で、水1mLに0.022mLの
水素が溶けます。したがって、水1Lあたり22mLの水素が溶け得ることになります。

そこで、この22mLの水素が何gか計算してみましょう。

アボガドロの法則から、水素22400mLの質量は2gです。
よって水素1mLあたりの質量は0.00008928gとなるので、
水素22mLが何gかというと、22×0.00008928g
=0.001964g=約0.002gということになります。

すなわち、1Lの水には、わずか0.002gしか溶けることができません。
1gの千分の2しか溶けていないのです。

ですので、この水素の溶けた水を1L飲んだとしても、その水には
0.002gの水素しか溶けていないんですね。

それに、温度が0℃より高くなれば気体は溶けにくくなります。
もっとたくさん溶かしたければ圧力を上げるしかありません。

TVの水素水の宣伝について。

水素水なるものの宣伝がTVに毎日、流れています。
見たところ、チューブ状の容器に水素水が入れてありますがパンパンに
ふくれあがっているようには見えませんので、内部の圧力は大気圧と
ほぼ一緒のはずです。

ということはそのチューブの容器の中の水にはこの計算結果どおりか、
それより少ない水素しか溶けていないと考えられます。

なぜなら、水素はもともと水に溶けにくい気体ですし、
水素のような小さな気体分子を簡易な容器に閉じ込めておくこと
など至難の業だからです。

これまで見てきたように、水に溶けうる水素ガスはごくわずかです。
そのわずかな水素が溶けた水(水素水)を飲んで、健康になるのかというと
にわかには信じられません。

さらに、そもそも水素ガスが体内でどんな働きをするのかということを
私は読んだことがありません。(TVのコマーシャル以外では)

確かに体内の複雑な化学反応に水素や電子は関係していますが、水素ガスを
飲み込んだらいいということにはなりません。
それは人間には鉄分が必要だからと言って、鉄工所の鉄粉や鉄くぎを砕いて
飲み込んでも栄養にならないのと同じ理屈です。

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コメント

  1. 通りすがりです。すみません。 より:

    最後の1文以外は、とっても納得なのですが、本当に鉄そのものの摂取は栄養にならないのでしょうか?よく、鉄鍋で調理すると鉄分の補給ができるとも聞きますが、これも似非なのでしょうか?

    • ケセラセラ より:

      こんにちは。
      あなたのコメントを拝見しました。拙いブログを読んでいただき、ありがとうございます。

      鉄なべの鉄分補給の話は私も聞いたことがありますが、よく考えるとそれも効果なしという結論になります。
      もし、鉄鍋の鉄(金属)が溶けだして、私たちの身体のミネラルとして有効であれば、小さな鉄球を飴玉のように口に含んでなめておれば、有効ということになります。でも、「鉄球を飴玉代わりになめていれば、鉄分補給になるよ」なんていう話は聞いたことがありません。つまり、「鉄鍋の料理を食べると鉄分を補給できるよ」という話は、本質において「鉄球を飴玉代わりになめると、鉄分補給になるよ」と言っているのと同じです。

      人間の体に含まれる鉄分は、鉄を単体(金属の鉄)として考えると。3g~4g(グラム)程度らしいです。
      そして、全身に含まれる鉄分の大多数は、Hb(ヘモグロビン)という有機化合物の分子中にヘモグロビン分子の構成原子の一つとして、Fe(鉄)が含まれているのです。(酸素呼吸に必要なヘモグロビン)
      ですので、食品として鉄分を吸収するということは、このヘモグロビンを生成するのに必要なヘム鉄という有機化合物を吸収する必要があります。
      このヘム鉄は、有機化合物であって、無機物の鉄(鉄鍋の鉄や金属鉄球)ではありません。
      ただ、鉄鍋で、すき焼きでもすれば、理論上はほんの少しの鉄原子は、鍋表面から金属結合を振り切って剥離し(イオン化して)、食品の中に混ざりこむこともあるでしょう。でもこの場合も、煮汁の中に、Fe2+やFe3+というイオンが溶けだしてくるだけで、ヘム鉄になるわけではありません。
      この溶けだした鉄イオンが、人体に必要なヘム鉄等に化学変化するかどうかは、僕にはわかりません。

      追伸。
      上記は持ち合わせの知識だけで書きましたが、調べてみると鉄分には非ヘム鉄があり、この非ヘム鉄は無機鉄ということですので、溶けだした鉄イオンはヘモグロビン生成に有効ということになります。どうもすみませんでした。m(__)m
      ただ、体に吸収されやすいのは食品に含まれる鉄分ですので、鉄鍋の金属鉄から溶け出す鉄イオンが体にとってどれだけ有効かは今の僕にはわかりません。
      文献をみると、一束のホウレンソウには、2mg程度の鉄分が含まれているようです。
      1回の鉄なべ料理で何mgの鉄がイオンとして溶け出してくるのかな?
      こればっかりは機器分析等で調べるしかありません。

      〈以下はビタミネより引用〉
      非ヘム鉄に多く含まれる三価鉄は、まずは吸収されやすい二価鉄へと還元されなければなりません。これは小腸粘膜細胞に存在するDcyt1と呼ばれる還元酵素の働きによりなされます。

      二価鉄となった鉄イオンは小腸上皮細胞にある二価金属輸送たんぱく質(DMT1 – divalent metal transporter 1)から取り込まれ吸収されます。直接吸収されるヘム鉄とこのような経路を経る必要がある非ヘム鉄では吸収率に差が出てしまうのです。

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