最近、「炭酸水」が健康にいいとか、ダイエットに効果があるなどと聞くことがありま
す。コンビニやスーパーでも、たくさんの炭酸飲料が売られています。
ところで、この炭酸水の「炭酸」あるいは「炭酸水」とは何でしょうか。
それが、体にどんな影響を与えるのでしょうか?
ということで、今回は、炭酸水について考えていきます。
炭酸水とは
炭酸水とは、文字通り炭酸が溶けている水のことです。
では、炭酸という物質はどんなものかというと、名前の通り、酸性の物質です。
酸性の物質は、青色のリトマス試験紙を赤色に変化させます。
ここで、炭酸という物質を化学式(分子式)で表すと、H2CO3 となります。
では、炭酸(H2CO3)がどのようにして生成されるかというと、二酸化炭素CO2が
水に溶けることで生成されます。
水に溶けた二酸化炭素(CO2分子)の大部分は、水に溶けたままCO2分子として存在
しています。
でも、ほんの少しだけ、以下のような化学反応で、炭酸(H2CO3)が生成します。
水に溶解した二酸化炭素分子のうち、ほんの少しが水分子と結合して炭酸となるのです。
- CO2 + H2O ⇄ H2CO3
ところで、この炭酸は水溶液(炭酸水)中だけでしか、存在できません。
つまり、炭酸(H2CO3)だけを単離することはできないのです。
どういうことかというと、純粋な炭酸だけを集めることはできないのです。
ところで、上記のように、純粋な炭酸そのものを室温で単離することは不可能だと考えら
れていたんですが(教科書的にもそうなっています)、放射線のエネルギーを使ったりし
て、1991年にNASA・ゴダード宇宙飛行センターの科学者が初めて純粋な H2CO3 を作
り出すことに成功したと言われています。(ウィキペディア情報)
結局、炭酸水の実体としては、水に二酸化炭素が溶けている水溶液のことです。
炭酸 H2CO3は、ほんの少ししか生じていないのです。
(参考までに、二酸化炭素CO2のことを日常用語では「炭酸ガス」と呼ぶこともあります。)
二酸化炭素は1リットルの水にどれくらい溶けるの
1気圧の環境では
二酸化炭素CO2の水への溶解は、
1013hPa(1気圧)で、0℃のとき、
1Lの水に溶ける量は、約3.37gです。(数研出版「化学図録」より算出)
ちなみに、酸素O2が溶ける量は0.07gです。
1気圧というのは、私達が住んでいる平地の気圧のことです。
もちろん、天候によって高気圧、低気圧がありますが、ほぼ1気圧前後です?
さて、1Lの水は質量でいうと1000gで、その1000gの水に二酸化炭素が3.37g溶けると
いうのは、気体の溶解量としては結構な量で、酸素の溶解量と比べるとかなりよく溶ける
気体だということがわかります。
では、二酸化炭素が溶けている水すなわち炭酸水を飲むと、健康に良いのでしょうか。
健康にとってメリットがあるのでしょうか。
炭酸水は健康に良いのか
さて、市販されている炭酸水は、炭酸飲料と呼ばれているもので、果実味とか砂糖が含ま
れていて、美味しくしてあります。
一方、カクテルを作る時の炭酸水は、二酸化炭素だけが水に溶けているものですので、飲
んでも美味しくないです。
市販されている炭酸飲料の中にはどれくらいの二酸化炭素が溶けているのか
1気圧、1Lの水に約3.37gの二酸化炭素が溶けることは、先に計算しましたが、市販の
炭酸飲料は、缶の圧力を強くしてもっとたくさんの二酸化炭素を溶かしています。
圧力を強くすれば、溶ける気体の質量は圧力に比例して多くなるからです。(ヘンリーの法則)
市販の炭酸飲料の缶の圧力
JAS規格では次のように定められています
【JAS規格】
糖類3%以上温度20℃でのガス内圧の定め
炭酸水1) 3.0kg/cm²以上、
(中略)
ペットボトル入り炭酸飲料の内圧は、20℃で4気圧程度が多い。
ずっと以前、実験をしたとき、350mLの炭酸飲料の缶の圧力が、3.3気圧程度だったと
記憶しています。
上記のJAS規格を見るとだいたい、3気圧程度になると思いますので、先に1気圧
で計算した質量の3倍程度は溶けている(ヘンリーの法則)はずです。
(温度の影響は無視します)
炭酸水の効能
☆炭酸水のメリット
炭酸水に含まれる炭酸ガスは、胃壁や腸を刺激します。
実際、飲んだ時、喉が刺激されますよね。
その結果、胃や小腸の動きを活性化させると考えられています。