大学生向け奨学金について~返せない人が増えている。何が問題か?

このたび、財務省が大学生向け奨学金の利子を年間0.1%から0.01%に引き下げる方針を固めました。保護者にとって非常に喜ばしいことですし、大学生本人の返済負担も減りますので大助かりです。
具体的には、大学生が4年間で240万円借りると1年あたりの金利負担は240円となるそうです。
利子がたった240円とはただみたいなもので、奨学金のありがたみを実感します。

財務省 大学生向け奨学金、利子の下限を年間0.01%に
TBS系(JNN) 9月20日(火)13時22分配信
財務省は来年度から、大学生向けの奨学金の利子の下限を年間0.1%から0.01%に引き下げる方針を固めました。 マイナス金利政策に伴う市場金利の低下をふまえたもので、現在の金利水準が続いた場合、大学生が4年間で240万円借りると1年あたりの金利負担は240円となります。
実際は5年ごとに金利を見直すことになりますが、安倍政権の経済対策の一環として卒業後の負担軽減を目指します。

一方で、5年ほど前、NHKが「クローズアップ現代」で、『奨学金が返せない ~若者たちの夢をどう支えるか~』という放送をしました。
この番組のテーマは、「若者の可能性を広げるはずの奨学金が、夢を奪いかねない現状をどう打破できるか、その方策を探る。」というもので、現在、奨学金が大きな問題を抱えているというのです。

番組に関する次のNHKの記事を読みました。

No.2931 2010年9月6日(月)放送
奨学金が返せない ~若者たちの夢をどう支えるか~今、奨学金の返済に苦しむ若者が急増している。大学の授業料が高騰し、返すべき奨学金の額が500万円を超えるケースもあるなか、正社員の職を得られない若者が増えているためだ。奨学金を貸している日本学生支援機構は一定の期間、返済を猶予する一方、期限を過ぎた若者たちに対しては取り立てを強化し、返済を求めて年間4000件以上の訴訟を起こしている。非正規の職をかけもちしても返しきれないローンを背負い、途方に暮れる若者たち。「貸与型(ローン)」ではなく、欧米で主流を占める「給付型(返済不要)」奨学金を国レベルで立ち上げるべきだとの声も高まっている。若者の可能性を広げるはずの奨学金が、夢を奪いかねない現状をどう打破できるか、その方策を探る。出演者 宮本 太郎さん(北海道大学教授)
【スタジオ1】
●奨学金の回収を行っている日本学生支援機構は、今年4月から、3か月以上滞納している人たちの個人情報を個人信用情報機関に通知し、先月末までに2386人が登録されている。
●独立行政法人となり、採算性を求められている日本学生支援機構が、取り立てを厳しくしている実態について。>>奨学金制度の目的というのは、人材の育成ですよね。そのための公的機関が、いわば借金の取り立てにここまでのエネルギーを割いているというのは、これは違和感を通り越して、危機感を感じますよね。借りたものは返さなきゃいけないというのは、そのとおりです。ただ、現在、奨学金を返済中の人たちは237万人いて、そのうち21万人以上が3か月以上の滞納という状況になっている。ここまでくると、もうこれは個人のモラルの低下だとか、あるいは督促の不徹底だとかいったような問題ではなくて、構造的な問題になっていると思うんですね。構造的というのは、一つは奨学金の返済の重さという問題があります。日本の公的な奨学金は、すべて返さなきゃいけないお金、「貸与型」ですね。しかも、その総額のうち7割が利子をつけて返さなきゃいけない「有利子」貸与。一方、先進国を見ると返さなくてもいい奨学金、「給付型」がある国がほとんどで、アメリカは小さい政府とか新自由主義とかいわれるけども、機会の平等を大変重視していて、連邦政府が517万人に、給付型の奨学金を提供しているわけですね。日本はこれがまったくない。その結果、大学を卒業する人たちは、数百万円の借金を負って社会に出ていく。これまでのような安定した日本型の雇用のシステムが続いてるのであれば、まだよかったかもしれない。ところが、労働市場の状況は、根本的に変わってしまっていて、初めて仕事に就く(初職)若者の男性の場合は35%が非正規、女性は、塚田さんもそうですけれども、58%が非正規なんですね。結果として、奨学金を返したくても返せない。
・・・(以下略)

宮本太郎さん(北海道大学教授)の問題提起の趣旨はわかるのですが、その中で気になる記述もありました。

「日本学生支援機構が、いわば借金の取り立てにここまでのエネルギーを割いているというのは、これは違和感を通り越して、危機感を感じますよね。」

日本学生支援機構が貸した金を回収しなかったら、後から続く高校生たちに貸与する奨学金がなくなってしまいますよね。向学心のある後輩たちに奨学金を保障していくなら、貸した金をきちんと回収していくことはとても大切な仕事のはずです。

日本学生支援機構がいい加減な組織で、貸した金を回収しないような組織であれば、すぐに行き詰まってしまうはずです。

それを “いわば借金の取り立てにここまでのエネルギーを割いているというのは、これは違和感を通り越して、危機感を感じますよね。” とは、随分お気楽で無責任な感想で、親方日の丸の学者らしいです。(失礼)

「日本学生支援機構」が奨学金(お金)を貸す組織である以上、その貸金の回収は、最もエネルギーを割いて行うべき大切な仕事の一つです。そうであってこそ、次に続く子供たちに奨学金を貸与し続けることができるのです。

借金に困っている卒業生達を何とかしてやりたいという宮本太郎さんのお気持ちはわかりますが、問題をすり替えているように思います。

もう少しシンプルに言うならば、『売春と現代女性、女子大生がなぜ売春するのか?』でも一部ふれましたが、要は返せないような多額のお金を借りたらだめだということです。

そんなことはあらゆる借金について言えることで、良いことに使うならいくら借りてもいいなんて話にはならないのです。これは、構造的な問題というより、借金をする側のモラル・見識の問題だと思います。

どんな世の中であれ、残念ながら貧富の差があります。構造的な問題と言えば、この貧富の差こそ構造的な問題でしょう。

これまで、指導してきた子供たちの中には、大学に行きたいが家庭の都合で諦めるという子供たちが少なからずいました。みんな、返せないような借金はせずに、責任を持って父母のこと、自分の将来のことを考えて決断していきました。そして、我慢をしたと思います。

それが、「500万円借りて、返せないで困っている人がいる。高利貸しのような取り立てをするのは酷いじゃないか」と言うようなことを書くのは見当違いもはなはだしいと思うのですが。

確かに、「給付型(返済不要)」奨学金であれば、みんな助かるでしょうが、そんな財源はどこから持ってくるのでしょうか。
しかも返済不要ということは、もらうということです。日本中のすべての家庭がそれを希望するはずです。
近い将来に実現できる施策とは思えません。

今やるべきことは、今回のように「奨学金返済の負担を少しでも軽くする施策のさらなる推進」と、「奨学金を借りる方は、甘い見積もりで、返せないような金額を借りないこと」、貸す方も審査を適正に行い「返せないような多額のお金は貸さない」ということです。

そして、いま500万円の借金をしている人は、まずその借金を返すことに全力をつくすべきです。つらいことでしょう。毎日が憂鬱でしょう。しかし、借りたのはあなたです。返すことで救われるはずです。

また、返済が滞っている人は、ほったらかしにせず、民事訴訟を起こされるまでに、自分から日本学生支援機構に出向き、返済計画の相談に乗ってもらったらどうでしょう。「日本学生支援機構」は決して高利貸しではありません。きっと相談に乗ってくれるのではないでしょうか。
借金を返すのは、借りたあなたの責任であって、世の中のせいではありません。

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